人事評価に基づく昇給・昇格のために必要な
職種・等級ごとに期待する役割の定義

多くの病院では、人事評価制度をお持ちだと思いますが、人事評価の結果が昇給・昇格に正しく反映されているでしょうか。人事評価制度が適切に機能せず、結果として年功序列になってしまっていませんか。

人事評価の結果を昇給・昇格に正しく反映させるためには、その前提として、それぞれの職種・等級ごとに、どのような役割を期待するのか、明確に定義しておく必要があります。そのうえで、その役割をどの程度果たしたかを評価し、その結果によって、昇給・昇格を考えることになります。

ここでは、職種・等級ごとの役割をどのように定義すればよいかについて、ご説明します。

 

 

人事評価に基づく昇給・昇格のために必要な職種・等級ごとに期待する役割の定義

 

1⃣ 役割定義書の必要性

 

 それぞれの職種・等級ごとに、例えば次のような期待する役割があると思います。

 

等級 ポスト 期待する役割
8等級 統括部長

法人全体を統括する責任者として、経営方針の達成に向けて、

すべての部を横断して、法人全体についてのマネジメントを推進する

7等級 部長

部の責任者として、経営方針を踏まえて組織の運営方針を策定し、

その達成に向けて所管業務全体についてのマネジメントを推進する

6等級 副部長

部長を補佐する立場で、部長に対して助言を行いながら、

所管業務についてのマネジメントを推進する

5等級 課(科)長

課(科)等の責任者として、上位方針を踏まえて組織の運営方針

を策定し、その達成に向けて所管業務全体のマネジメントを推進する

4等級 副課(科)長・係長

担当業務全般について体系的な知識を有し、課長等を補佐し、

後輩職員を支援しながら、担当業務をとりまとめる

3等級 主任

担当業務に関する幅広い知識を有し、主体的に問題解決

しながら日常業務を独力で遂行する

2等級 副主任

担当業務に関するひととおりの知識を有し、上司の助言を

踏まえて、日常業務を適切に遂行する

1等級 一般職

担当業務に関する基本的な知識を有し、上司の指示・命令

を受けながら、与えられた範囲の業務を適切に遂行する

 

ただし、上記のような期待する役割は、それぞれの等級に求められる役割を大雑把に示したものであり、これだけだと各等級がどのような職責なのか(どのような成果や役割行動が求められるのか)が具体的によくわかりません。

 

そこで、「あなたは○○等級なので、ここに書いている役割を担っていますよ」ということを各職員に示すために、各等級の役割を具体的に表す「役割定義書」が必要となります。

 

2⃣ 役割定義書と人事評価との関係

 

 役割定義書は、等級ごとに期待する役割から始めて、結果としての「成果責任」と、そこに至るまでのプロセスとしての「行動責任」を定義していきます。

 

 そして、人事評価は、この役割定義書に示された「成果責任」と「行動責任」を実際に果たすことができたかを見ます。

 

 つまり、役割定義書の「成果責任」と「行動責任」は、単に役割を定義したものであるだけではなく、それがそのまま人事評価制度と直接にリンクするのです。(下図参照)

(出典)「進化する人事制度仕事基準人事改革の進め方」(林浩二著、株式会社労務行政)

3⃣ 役割定義書の作成方法

 

 ⑴ 成果責任

 

 「成果責任」は、例えば「上位方針に即して主体的に課題設定し、これを効率的・効果的に完遂する責任を負う」「特命事項や課題事項が与えられている場合には、これに取り組み、所期の成果を上げる責任を負う」というような抽象度の高い表記とします。

 

 いずれにしても、この部分は職種別・個人別に内容が異なるため、最終的には目標管理のような形で個人別の業務目標に落とし込むことで具体化していくことになります。

 

 ⑵ 行動責任

 

 「行動責任」は、等級別に法人が期待する役割行動を評価基準のような形で整理していきます。その際、次の3分類に整理します。(下図参照)

 ① 担当業務を通じて与えられた責任を果たす行動を定義した「業務を推進する」

 ② 所属部署の一員として組織を維持・強化する行動を定義した「組織を維持・強化する」

 ③ 経営理念やクレドに即して行動する責任を定義した「理念を実行する」

 

 上記3分類のうち、「組織を維持・強化する」「理念を実行する」については、職種の差異を意識する必要はありません

 

 「業務を推進する」については、業務積み上げ方式(職種または部署別に仕事の中身を一つひとつ洗い出して業務を積み上げていく方法)と、業務フロー方式(個々の業務を積み上げていくのではなく、Plan(計画・企画段階)→Do(実行・推進段階)→See(検証・改善段階)の業務フローに沿って行動責任を定義していくやり方)があります。

 

 業務積み上げ方式は、職種や部署別に職務分析を行わなければならず、そのようにして作成した役割定義書のレベル感を職種別に比較検証しなければならないなど相当の手間がかかる上、メンテナンスも大変ですので、病院のような医療現場にはなじまないものと思われます。

 

 他方、業務フロー方式は、どのような仕事であっても、必ずPlan→Do→Seeのサイクルに分解できるため、病院内の職種全体を包括した役割定義を作成できますので、お勧めしたいと思います。

 

 

(出典)「進化する人事制度仕事基準人事改革の進め方」(林浩二著、株式会社労務行政)

 以上のような考え方に基づき、まずはひな型となる「役割定義書」を作成し、例えば職種系統別の代表者を集めた説明会を開催してひな型を示し、現場に直接アレンジしてもらい、病院全体の職種別・等級別の役割定義書を作成していきます。

 

【参考文献】

「進化する人事制度仕事基準人事改革の進め方」(林浩二著、株式会社労務行政)

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