今週のコラム第151号「2025年4月と10月に施行される改正育児・介護休業法に対応した簡易規定例が公開」(2024年11月12日号)

2025年4月と10月に改正育児介護休業法が施行され、それに対応した就業規則の整備が必要となりますが、このたび、厚生労働省から簡易な規定例が公開されました。

皆様の職場でも、あと5か月の間に就業規則の改正作業を急ぐ必要がありますが、今回は、その規定例のポイントをご紹介します。

 

2025年4月と10月に施行される改正育児・介護休業法に対応した簡易規定例が公開

 

 育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)は、企業や事業所の規模や業種を問わず適用されます。

 

 また、育児・介護休業(出 生時育児休業を含む。)、子の看護等休暇、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮措置(短時間勤務制度)、柔軟な働き方を実現するための措置については、就業規則等に制度を定めておく必要があります。

 

 2025年4月と10月に施行される育児・介護休業法の改正に合わせて、就業規則等において整備すべきポイントは、次のとおりです。 

 

○育児休業 (規定例第1条)

○出生時育児休業(産後パパ育休) (規定例第2条) 

 ~ 令和7年10月から、“仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮”が事業主に義務付けられます~

<仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取>

 事業主は、従業員が本人又は配偶者の妊娠・出産等を申し出た時や、従業員の子が3歳になるまでの適切な時期に、子や各家庭の事情に応じた仕事と育児の両立に関する従業員の意向を個別に聴取する必要があります。

 

<聴取した労働者の意向についての配慮>

 事業主は、意向を聴取した従業員の就業条件を定めるに当たっては、個別に聴取した従業員の仕事と育児の両立に関する意向について、自社の状況に応じて配慮する必要があります。

 

○介護休業  (規定例第3条)

~ 令和7年4月から、介護離職防止のための個別周知・意向確認等の措置が事業主に義務付けられます~

<介護離職防止のための個別周知・意向確認>

 介護に直面したことを申し出た従業員に対して、事業主は介護休業、介護両立支援制度等を周知し、制度利用の意向を確認する必要があります。

 

<介護に直面する前の早い段階での情報提供>

 事業主は、仕事と介護の両立支援制度を十分活用できないまま介護離職に至ることを防止するため、従業員が介護に直面する前の早い段階(40歳等)に、介護休業、介護両立支援制度等に関する情報提供を行う必要があります。 

 

<介護休業、介護両立支援制度等を取得しやすい雇用環境整備>

 事業主は、介護休業、介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるよう、研修や相談窓口設置等の措置を講じる必要があります。

 

◆子の看護等休暇  (規定例第4条) 

~ 令和7年4月から、対象の子の範囲等が見直されます ~ 

改正内容 ~R7.3.31 (施行前)  R7.4.1~(施行後) 
対象となる子の範囲の拡大  小学校就学の始期に達するまで  小学校第3学年修了まで 
取得事由の拡大 (③④を追加)

①病気・けが

②予防接種・健康診断

①病気・けが

②予防接種・健康診断

③感染症に伴う学級閉鎖等

④入園(入学)式、卒園式

労使協定による継続雇用期間

6か月未満除外規定の廃止

<除外できる労働者>

①週の所定労働日数が2日以下

②継続雇用期間6か月未満 

<除外できる労働者>

①週の所定労働日数が2日以下

※②を撤廃 

名称変更 子の看護休暇 子の看護等休暇

 

◆介護休暇  (規定例第5条)  

~ 令和7年4月から、取得できる労働者の要件が緩和されます ~ 

改正内容  ~R7.3.31 (施行前)  R7.4.1~(施行後) 

労使協定による継続雇用期間

6か月未満除外規定の廃止 

<除外できる労働者>

①週の所定労働日数が2日以下

②継続雇用期間6か月未満 

<除外できる労働者>

①週の所定労働日数が2日以下

※②を撤廃 

 

◆育児・介護のための所定外労働の制限  (規定例第6条)

~ 令和7年4月から、育児のための所定外労働の制限の対象が拡大されます~ 

改正内容 ~R7.3.31 (施行前)  R7.4.1~(施行後)

請求可能となる労働者の

範囲の拡大 

3歳未満の子を養育する労働者 小学校就学前の子を養育する労働者 

 

◆育児短時間勤務(3歳未満)  (規定例第9条)

~令和7年4月から、代替措置にテレワークが追加されます~ 

改正内容 ~R7.3.31 (施行前)  R7.4.1~(施行後) 

代替措置(※)の

メニューを追加

<代替措置>

①育児休業に関する制度に準ずる措置

②始業時刻の変更等の措置 

<代替措置>

①育児休業に関する制度に準ずる措置

②始業時刻の変更等の措置

③テレワーク等の措置

※短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる具体的な業務があり、その業務に従事する労働者がいる場合にのみ、労使協定を締結し除外規定を設けた上で、代替措置を講ずることとなります

 

~令和7年4月から、育児のためのテレワークの導入が努力義務となります~

・3歳未満の子を養育する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化されます。

 

◆柔軟な働き方を実現するための措置  (規定例第10条)

 ~ 令和7年10月から、柔軟な働き方を実現するための措置を講ずることが事業主に義務付けられます ~

・事業主は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に関して、以下①~⑤の中から2つ以上の措置を選択して講ずる必要があります。

・労働者は、事業主が講じた措置の中から1つを選択して利用することができます。

・事業主が講ずる措置を選択する際、過半数組合等からの意見聴取の機会を設ける必要があります。

【選択して講ずべき措置】   

 ① 始業時刻等の変更   

 ② テレワーク等(10日以上/月)   

 ③ 保育施設の設置運営等   

 ④ 就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇 (養育両立支援休暇)の付与

  (10日以上/年)   

 ⑤ 短時間勤務制度

 ※  ①から④までは、フルタイムでの柔軟な働き方

 ※ ②と④は、原則時間単位で取得可とする必要があります。

 

~ 令和7年10月から、“柔軟な働き方を実現するための措置の個別周知・意向確認”が事業主に義務付けられます ~

<柔軟な働き方を実現するための措置の個別周知・意向確認>   

3歳未満の子を養育する労働者に対して、子が3歳になるまでの適切な時期に、事業主は柔軟な働き方を実現するための措置として選択した制度等を周知し、制度利用の意向を確認する必要があります。 

 

~ 令和7年10月から、“仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮”が事業主に義務付けられます~

<仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取>

事業主は、従業員が本人又は配偶者の妊娠・出産等を申し出た時や、従業員の子が3歳になるまでの適切な時期に、子や各家庭の事情に応じた仕事と育児の両立に関する従業員の意向を個別に聴取する必要があります。 

 

<聴取した労働者の意向についての配慮>

事業主は、意向を聴取した従業員の就業条件を定めるに当たっては、個別に聴取した従業員の仕事と育児の両立に関する意向について、自社の状況に応じて配慮する必要があります。

 

○介護短時間勤務  (規定例第11条)   

~令和7年4月から、介護のためのテレワークの導入が努力義務となります~

要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化されます。 

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