埼玉県

今週のコラム第140号「長時間労働医師への面接指導の実施手順」(2024年7月9日号)

本年4月から、すべての医療機関において、長時間労働医師への面接指導が義務づけられ、保健所の立入検査(医療法第25条第1項)においてもその実施状況が確認されることになりました。

皆様の医療機関においても、すでに始められていると思いますが、対象医師の時間外・休日労働が月100時間以上となる前に実施できているでしょうか。

また、面接指導実施医師による面接指導は、正しく行われているでしょうか。

今回は、あらためて、長時間労働医師への面接指導の実施手順について確認しておきたいと思います。

 

長時間労働医師への面接指導の実施手順

 

1.面接指導の仕組みのポイント

 〇 2024 年4月から、時間外・休日労働が月 100 時間以上となることが見込まれる医師全

  員が受ける新しい“面接指導”が始まりました。

 〇 従来の労働安全衛生法に基づく面接指導とは異なる仕組みですので、医療機関では

  新たに実施体制を構築する必要があります。

管理者の義務

(注)副業・兼業先の管理者にも義務があります 。

⚫面接指導対象医師に対し、面接指導を実施すること

⚫面接指導実施医師に、面接指導に必要な情報を提供すること

⚫面接指導実施後、健康確保措置についての面接指導実施医師の意見を聞くこと

⚫必要なときは、面接指導対象医師の健康確保のため、労働時間の短縮、宿直の回数の減少、その他の適切な措置を行うこと

⚫面接指導、面接指導実施医師の意見、健康確保措置の内容を記録、保存すること等

面接指導の対象者

(面接指導対象医師)

時間外・休日労働が月100時間以上となることが見込まれる医師が対象です。

A~Cのどの水準が適用されているかにかかわらず対象になります。

対象者が面接指導を希望しているかどうかにかかわらず実施する必要があります。

⚫対象者には面接指導を受ける義務があります。

面接指導を行う医師

(面接指導実施医師)

面接指導は面接指導実施医師が行います。当該医師になるためには以下が必要です。

 ・面接指導対象医師が勤務する病院又は診療所の管理者でないこと

 ・「面接指導実施医師養成講習会」の受講を修了していること

(※)上記を満たしていれば産業医でなくても面接指導実施医師になれます。また、面接指導実施医師になるためには、産業医であっても上記を満たす必要があります。

面接指導の流れ
面接指導実施時期 ⚫原則として時間外・休日労働が100時間以上となる前に実施する必要があります。
履行確保

⚫必要な面接指導を実施しなかった場合には医療法違反となります。

⚫ 2024年4月以降、面接指導の実施は、医療法第25条に基づく立入調査(医療監視)の確認項目となります。

⚫必要な面接指導を実施せずに月100時間以上の時間外・休日労働をさせた場合は労働基準法違反にもなります。

 

 

2.面接指導の実施フロー

 〇 誰がどのような業務を担うのかを含めた面接指導実施フロー・体制整備の確認をお願い

  します。

 ⑴ 面接指導の実施時期

 ○ 面接指導は、原則として時間外・休日労働が月100時間以上となる前に実施する必要が

  あります。

 ○ 各医師の時間外・休日労働が100時間以上となる頻度を踏まえた面接指導の実施時期を

  検討します。 

 ⑵ 面接指導対象医師の事前情報の収集

 〇 管理者は、面接指導実施医師に対して面接指導に必要な情報を提供する必要がありま

  す。

 〇 面接指導実施医師が面接指導実施時に確認する内容を踏まえ、必要な情報を確認・提供

  するようにしましょう。

(参考)労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト(2023年改訂版)

(参考)睡眠負債の状況を評価する質問紙

 本様式例は、「長時間労働医師への健康確保措置に関するマニュアル(改訂版)」に示されています。

 ⑶ 面接指導実施医師と面接指導対象医師のマッチング

 医師の健康確保につながるような面接指導体制を構築することが重要です。

 留意事項を踏まえた面接指導実施医師と面接指導対象医師のマッチング方法・体制の整備をお願いいたします。

<マッチング時の留意事項>

• 医療機関の管理者は、面接指導実施医師となることはできない

• 面接指導に際しては、面接指導対象医師が、心理的安全性※の得られる状況で、安心して面接指導が

 受けられ、本人の健康確保につながる面接指導体制を構築することが望ましい。

• 同じ医局・診療科の医師同士での面接指導の実施は、医療法で禁止はされていないものの、心理的安

 全性が十分得られない場合等、医師同士の関係性を十分考慮し、場合によっては直接の部下に対する面

 接指導とならないようにするのが望ましい。

※ 心理的安全性:組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態

 

<具体的なマッチング方法の参考例>

• 同じ医局・診療科の医師同士での面接指導の実施回避

 各診療科に1名程度の面接指導実施医師を最低限配置し、面接指導前に面接指導対象医師と面接指導実

 施医師の了解を得る前提で、面接指導実施医師は別の診療科に所属する医師の面接指導を実施するよ

 う、機械的に振り分ける

• ハイリスク対象者を産業医へ振り分け

 健康診断等で異常が判明している医師や、入職間もないのに長時間労働となっている医師(ハイリスク

 対象者)等に対する面談は、初めから医療機関の産業医(面接指導実施医師養成講習会受講済の産業

 医)へ振り分ける

• 外部の面接指導実施医師の活用

 近隣の医療機関と連携する等で、長時間労働医師への面接指導に多くの時間を費やせる自医療機関所属

 ではない面接指導実施医師と契約を行い、毎月面接指導対象医師と日程を調整して面接指導を実施する

 

 ⑷ 面接指導の実施場所・実施方法の検討と留意事項

 面接指導の実施にあたり、面接指導実施場所の確保や実施方法(対面・WEB)等について検討をお願いします。

 情報通信機器を用いて面談実施する場合、職務の範囲や留意事項等を衛生委員会等で調査審議し、労働者に周知すること等も重要です。

3.面接指導実施後の対応事項の確認(就業上の措置)

 〇 医療機関の管理者は、面接指導実施医師の意見を踏まえ、必要な就業上の措置を行う

  必要があります。

 〇 面接指導結果及び意見書は5年間保存する義務があります。

  その記載のもととなる面接記録には特に機微な個人情報が含まれますので、ルールを定め

 て取り扱う必要があります。

(参考)副業・兼業時の面接指導の実施主体のフローチャート

 医師が副業・兼業を行っている場合には、面接指導・就業上の措置を実施する医療機関については、医師本人の選択により、医療機関同士で話し合うようにしてください。

【副業・兼業時への書面提出の流れ】

 X(主たる勤務先)とYで副業・兼業している医師について、時間外・休日労働時間が通算して1ヶ月100時間以上となる見込みがある場合

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