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いよいよ医療法第25条第1項に基づく各都道府県保健所による立入検査が始まり、医師の働き方改革に関連する事項が確認されます。
今回は、医師の働き方改革関係の医療法の施行に伴い、令和6年度以降、医療法第25条第1項に基づく立入検査において新たに確認が必要な検査項目、提示資料及び注意点について、ご紹介します。
いよいよ始まる保健所の立入検査
(医師の働き方改革関連)
1.立入検査項目及び提示が求められる資料(一覧)
医師の働き方改革関係の医療法の施行に伴い、令和6年度以降、医療法第25条第1項に基づく立入検査において新たに確認が必要な検査項目と、提示が求められる資料の一覧は次のとおりです。
立入検査を実施する都道府県保健所によって、提示を求める資料が異なる場合がありますので、その場合は、立入検査を実施する都道府県保健所の指示に基づき対応して下さい。
項目 | 概要 | 提示資料 | 対象 |
1.面接指導の実施(法第108条第1項) | 時間外・休日労働が月100時間以上となることが見込まれる医師(面接指導対象医師)に対して、医療法上の面接指導が実施されていることを確認。 | ・直近1年間における月別の時間外・休日労働時間数が100時間以上となった医師の一覧 ・長時間労働医師面接指導結果及び意見書 ・面接指導実施医師養成講習会の修了証書 | 全医療機関 |
2.就業上の措置(時間外・休日労働月100時間以上見込み)(法第108条第5項) | 面接指導対象医師に対する面接指導実施後、必要に応じて、労働時間の短縮、宿直の回数の減少その他の適切な措置(就業上の措置)を講じていることを確認。 | ・直近1年間における月別の時間外・休日労働時間数が100時間以上となった医師の一覧(※1.面接指導の実施」と同じ一覧) ・措置の要否や措置の内容について記載された記録 | |
3.就業上の措置(時間外・休日労働月155時間超)(法第108条第6項) | 時間外・休日労働が月155時間超となった医師について、労働時間の短縮のために必要な措置を講じていることを確認。 | ・直近1年間における月別の時間外・休日労働時間数が155時間超となった医師の一覧 ・労働時間短縮のための必要な措置の内容について記載された記録 | |
4.勤務間インターバル・代償休息(法第123条第1項及び第2項) | 特定労務管理対象機関に勤務する特例水準の業務に従事する医師(特定対象医師)に対し、勤務間インターバルや代償休息が確保されていることを確認 | ・特定対象医師の名簿 ・直近1年間のうち任意の1ヶ月分の勤務予定及び勤務時間の実績等の勤務状況が分かる資料 | 特定労務管理対象機関 |
2.注意事項
⑴ 面接指導の実施
① 面接指導対象医師をリストアップ
医療機関は、「直近1年間における月別の時間外・休日労働時間数が100時間以上となった医師の一覧」を提示する。
当該面接指導対象医師に対し、面接指導が実施されていることを確認する。
○ 医療機関に提示を求める一覧は、「年月」、「氏名」、「時間外・休日労働時間数」が、
記載された資料の提示。
○ 対象となる医師は医業(診療)に従事する医師のみ。(産業医、健診センター・血液
センター等の診療を直接の目的とする業務を行わない医師は除く。
なお、診療に従事する医師であれば、管理監督者も対象となる。)
【ここに注意!】 〇 検査対象の面接指導対象医師が多数の場合は、対象者の一覧から検査する複数名の対象者、 年月を指定して検査を行うことがあります。 任意の複数名について検査する場合、面接指導対象医師の背景に偏りが生じないようにする観点 から、「診療科」、「対象年月」、「特定対象医師(特定臨床研修医を含む)か否か」等を確認して検査対 象を決定する場合があるため、資料に予め記載するか、回答できるように準備すること。
〇 令和6年度の立入検査の実施に当たっては、直近1年分ではなく、令和6年4月以降における月別の 時間外・休日労働時間数が分かる資料を求める等の対応が想定される。 |
② 面接指導の実施を確認
「長時間労働医師面接指導結果及び意見書」に以下の事項が記載されており、適切な時期に
面接指導が実施されていることを確認。
ⅰ 面接指導の実施年月日
ⅱ 面接指導対象医師の氏名
ⅲ 面接指導を行った面接指導実施医師の氏名
ⅳ 面接指導対象医師の勤務の状況
ⅴ 面接指導対象医師の睡眠の状況
ⅵ 面接指導対象医師の疲労の蓄積の状況
ⅶ その他面接指導対象医師の心身の状況
【ここに注意!】 〇 面接指導は、原則、時間外・休日労働時間が月100時間に達するまでの間に実施されている必要が あるため、面接実施日が月末近くである場合には、面接指導実施日までの時間外・休日労働時間を提示 すること。 なお、特例水準の医師以外で一定の疲労蓄積が認められる場合(※)に該当しない場合には、月100 時間以上となった後、遅滞なく実施することも可とされているため、月100時間に達するまでの間に 実施していない場合にあっては、このケースに該当することを提示すること。 ※「一定の疲労蓄積が認められる場合」とは、以下のいずれかに該当した場合を指す。 ・ 前月の時間外・休日労働時間数: 100時間以上 ・ 直近2週間の1日平均睡眠時間:6時間未満 ・ 面接指導の希望:有 ・ 疲労蓄積度チェック:「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」において、 自覚症状がⅣ又は疲労蓄積度の点数が4以上
〇 管理者が指定した面接指導実施医師以外の面接指導実施医師により実施されている場合は、その面接 指導を証明する書面が管理者に提出されている必要がありますので、書面で提出されていることを提示 すること。 |
面接指導実施医師により面接指導が実施されていることを確認。
○ 面接指導実施医師が、医師の健康管理を行うのに必要な知識を修得させるための講習を
修了しているか、「修了証書」を提示。
○ 当該医療機関の管理者ではないことに留意。
⑵ 就業上の措置
面接指導実施医師意見に基づき、「措置の要否や措置の内容について記載された記録」がある
ことを確認する。
○「措置の要否や措置の内容」について記載されていること。
【ここに注意!】 〇 具体的措置内容の例は以下のとおり。 ・慢性睡眠不足の解消のため、当直・連続勤務を制限(〇回/月まで)する ・医療機関の受診後の診断書をもって最終判断とするが、それまでは就業内容を○○のみとする ・人間関係に伴うストレス回避のため、就業場所を変更する(手術室での就業を中止し病棟業務の み) ・心身への健康被害が想定され、就業を制限(時間外労働の制限、就業内容・場所の変更(外来業務の み等)、就業時間の制限(○時○分~○時○分まで)等)する等
○ 就業上の措置の要否の判断や実施内容の妥当性を確認する趣旨ではなく、面接指導実施医師の意見聴 取・要否判断の有無・措置の実施といった法令で規定されている健康確保のための手続が実施されてい るかという観点で確認。 |
⑶ 就業上の措置(155時間超の場合)
「労働時間短縮のための必要な措置の内容について、記載された記録」があることを確認
する。
○「措置の内容」について記載されていること。
【ここに注意!】 ○ 月の時間外・休日労働が155時間を超える場合、管理者は労働時間短縮のために必要な措置を講じな ければなりません。労働時間短縮のための措置の内容が記載されていることが必要です。 |
⑷ 勤務間インターバル・代償休息の確保 対象:特定労務管理対象機関
① 特定対象医師の名簿の提示
医療機関は、「特定対象医師の名簿」を提示し、立入検査を実施する都道府県保健所は、当該
名簿から確認対象とする複数の医師を指定する。
(指定の際、特定臨床研修医がいる場合には特定臨床研修医を含む。)
② 勤務状況が分かる資料の提示
医療機関は、指定された医師に関し、直近1年間(※)のうち任意の1か月分の次の項目が記載されている勤務状況が分かる資料を提示。
※ 令和6年度の立入検査の実施に当たっては、直近1年分ではなく令和6年4月以降の
月別の時間外・休日労働時間数が分かる資料を求める等の対応が想定される。
○ 勤務予定開始・終了時間、勤務開始・終了時間の実績が記載されていること(※)。
※ 兼業・副業先の勤務時間を含む。労働時間に該当しない研さん等の時間は勤務時間に
含まない。
○ その他、円滑な確認のため、次についても一覧に記載または別途資料を提出すること。
・ 宿日直の時間及びそのうち許可あり宿日直の時間
・ 勤務間インターバルの確保方法(どのパターンか)
・ 勤務間インターバルの確保時間・勤務間インターバル中に発生したやむを得ない業務
の時間
・ 代償休息を確保した日時
【ここに注意!】 上記の「勤務状況が分かる資料」は、勤怠管理システム等で管理されていることが想定されるが、資料として常備していない項目が含まれることも想定されるため、医療機関は資料の準備に時間を要すると考えられる。 円滑な検査の実施に資するよう例えば次のような工夫を検討することが想定されています。 ・立入検査の1週間前までに特定対象医師のリストの提出を求める。 ・リストの提出を受けて、検査日の数日前までに、立入検査当日に確認する特定対象医師の複数名の 特定の月の指定を伝え、当該医師の勤務状況が分かる資料の準備を指示する。 その際に、リストに特定臨床研修医が含まれる場合は、1名以上指定する。 |
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