今週のコラム第133号「令和6年度介護報酬改定と賃上げ(介護職員の処遇改善のポイント)」(2024年5月7日号)

皆様の病院の多くは、老人保健施設など介護保険事業所を併設されているかと思います。

今回は、令和6年度介護報酬改定における介護職員の処遇改善のポイントについて、ご紹介します。

特に、これまでキャリアパス要件や職種間配分ルールがネックとなっていて、上位区分の加算や特定処遇改善加算が取れていなかった事業所は、令和6年度限りの特例措置があり、加算が取りやすくなっているので、ご注目ください。

 

令和6年度介護報酬改定と賃上げ(介護職員の処遇改善のポイント)

 

1.これまでの介護職員の処遇改善に係る加算全体のイメージ

〇これまで介護職員の処遇改善に係る加算は、次の3種類があり、多くの介護事業所に普及してきました(令和5年10月現在取得率、①介護職員処遇改善加算 94.3%、②介護職員等特定処遇改善加算 77.7%、③介護職員等ベースアップ等支援加算 93.4%)。

 

〇しかし、職種間の配分ルールが硬直的であるため、賃金改善の仕組みを設けるための事務作業が煩雑であるなどの課題がありました。

2.介護職員の処遇改善加算の一本化及び加算率の引上げ(令和6年6月~)

〇介護現場で働く方々にとって、令和6年度に 2.5 %、令和7年度に 2.0 %のベースアップへと確実につながるよう加算率の引上げが行われました。

 

〇また、介護職員等の確保に向けて、介護職員の処遇改善のための措置ができるだけ多くの事業所に活用されるよう推進する観点から、介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算について、現行の各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた4段階の「介護職員等処遇改善加算」に一本化されました。

 

〇一本化後の加算については、介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員に重点的に配分することとされましたが、これまでの課題を解決するため、事業所内での柔軟な職種間配分が認められることになりました。

 

〇他方、人材確保に向けてより効果的な要件とする等の観点から、月額賃金の改善に関する要件及び職場環境等要件が見直されました

 

〇さらに、より多くの事業所が加算を取りやすくするため、令和6年度末までの経過措置期間を設け、加算率並びに月額賃金改善要件及び職場環境等要件に関する激変緩和措置が講じられています。

3.現行制度から一本化後の介護職員等処遇改善加算への移行(経過措置)

〇今回一本化された、新加算Ⅰ~Ⅳに直ちに移行できない事業所のため、激変緩和措置として、新加算 Ⅴ(1~ 14) が令和7年3月までの間に限り設置されました。

 

新加算Ⅴは、令和6年5月末日時点で、介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算(現行3加算)のうちいずれかの加算を受けている事業所が取得可能です(新加算 Ⅰ~Ⅳのいずれかを取得している場合を除く。)。

 

新加算Ⅴは、 現行3加算の取得状況に基づく加算率を維持した上で、 今般の改定による加算率の引上げを受ける ことができます。

 

新加算Ⅴの配分方法は、加算Ⅰ~Ⅳ と同様、介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員に重点的に配分することとしますが、事業所内で柔軟な配分が認められます。

4.新加算Ⅰ~Ⅳを算定するための3種類の要件

〇新加算Ⅰ~Ⅳを算定するためには、次の3種類の要件を満たすことが必要です。

 

〇特に、赤枠で示した部分は、新加算Ⅰ~Ⅳを取得しやすくするため、原則として令和6年度に限り、緩和された要件ですので、ご注意ください。

【ここに注意!】

   〇これまでキャリアップ要件がネックとなっていて、処遇改善加算の上位区分が取得できなかった

   事業所は、令和6年度中に対応することを誓約すれば、4月から上位区分を算定することができま

   す。

   〇また、職種間配分ルールがネックとなっていて、特定加算を取得できなかった事業所も、職種間

   配分ルールの緩和によって、特定加算を取得できるようになりました。

   〇なお、令和5年度に処遇改善加算等を算定しておらず、令和6年度から新規に処遇改善加算を算

   定する事業所については、記入事項を大幅に簡素化した様式(本体部分は1ページ)が新設され、

   申請しやすくなりました。

5.令和6・7年度の処遇改善加算の配分方法

〇国からは、介護現場で働く方々の賃上げへとつながるよう、事業所の過去の賃上げ実績をベースとしつつ、今般の報酬改定による加算措置の活用や、賃上げ促進税制の活用を組み合わせることにより、令和6年度に+2.5%、令和7年度に+2.0%のベースアップを実現いただくよう要請されています。

〇今回の報酬改定では、処遇改善分について2年分が措置されていますので、新加算の加算額は、令和6・7年度の2か年で全額を賃金改善に充てる必要がありますが、+2.5%や+2.0%のベースアップは、あくまで努力目標であることにご留意ください。

〇また、令和7年度分の加算額を令和6年度に前倒しして賃上げすることも、令和6年度分の加算額を令和7年度に繰り越して賃金改善に充てることもできます。

ただし、令和6年度から令和7年度へ繰り越した場合、繰り越し分は、令和6年度において課税対象となる可能性があるなど懸念されますので、できる限り令和6年度から賃上げを実施することが望ましいと考えられます。

なお、3年目の対応については、令和8年度予算編成過程で検討することとなっています。

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