今週のコラム第92号「医師の働き方改革シリーズ第9回『大学における裁量労働制』」(2023年3月28日号)

大学病院においては、教授等の裁量労働制と2024年4月から始まる医師の時間外労働規制との関係が問題となっています。

今回は、大学における教授等の裁量労働制について、解説します。

 

1.専門業務型裁量労働制とは

 専門業務型裁量労働制とは、業務の性質上、業務遂行

の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として、厚生労働

省令及び厚生労働省告示によって定められた業務の中から、対象となる業務を労使で定め、労

働者を実際にその業務に就かせた場合、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度

です。

 この裁量労働制が適用される場合には、医師であっても、一般労働者と同じ労働時間規制

(年間の時間外労働時間の上限は、原則360時間、例外720時間)が適用されます。

 対象となる19業務のうち、大学職員に関係するのは、次の2種類です。

① 新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務

② 学校教育法(昭和22年法律第26号に規定する大学における教授研究の業務(主として研究

 に従事するものに限る。)

 

2.教授研究の業務

 教授研究の業務は、学校教育法に規定する大学の教授、准教授又は講師(以下「教授等」と

いいます。)の業務をいい、「教授研究」とは、教授等が、学生を教授し、その研究を指導

し、研究に従事することです。

 専門業務型裁量労働制が適用されるためには、「主として研究に従事する」ことが必要です

が、これは、業務の中心はあくまで研究の業務であることをいうものであり、具体的には、研

究の業務のほかに講義等の授業の業務に従事する場合に、その時間が、多くとも、1週の所定

労働時間又は法定労働時間のうち短いものについて、そのおおむね5割に満たない程度である

ことが必要です。

 なお、大学病院等において行われる診療の業務については、専ら診療行為を行う教授等が従

事するものは教授研究の業務に含まれませんが、医学研究を行う教授等がその一環として従事

する診療の業務であって、チーム制(複数の医師が共同で診療の業務を担当するため、当該診

療の業務について代替要員の確保が容易である体制をいう。)により行われるものについて

は、教授研究の業務として取り扱って差し支えないこととされています。(平成15年10月22日

基発第1022004号、平成18年2月15日基発第0215002号)

 

3.人文科学又は自然科学に関する研究の業務

 大学の助教は、専ら人文科学又は自然科学に関する研究の業務に従事すると判断できる場合

は、専門業務型裁量労働制の対象業務と取り扱うことができます。

 この場合において「助教」は、教授の業務を行うことができることになっていることから、

その時間が、一週の所定労働時間又は法定労働時間のうち短いものの一割程度以下であり、他

の時間においては人文科学又は自然科学に関する研究の業務に従事する場合には、専ら人文科

学又は自然科学に関する研究の業務に従事するものとして取り扱って差し支えないものとされ

ています。(平成19年4月2日基監発第0402001号)

 

4.裁量労働制と宿日直との関係

 厚生労働省によれば、裁量労働制は時間的な裁量があることを前提とした制度であるのに対

し、宿日直は裁量のない業務であり、定期的に宿日直に従事することが予定されている者を裁

量労働制の対象に含めることはできないとされています。

 一方、裁量労働制の医師でも、副業・兼業先の医療機関での宿日直業務を担うことは可能

で、一定の副業・兼業はできるものとされています。

(「大学病院の裁量労働制は「一般則」、定期的な宿日直は不可 厚労省(令和3年2月19日

メディファックス記事)」より)

 

◎ 各大学病院では、以上の点を踏まえ、医師の時間外労働規制が始まる2024年4月

 までに、医師の裁量労働制の取扱いについて、整理しておくことが必要です。

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