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医師の時間外・休日労働時間を年1860時間まで認められるようにするためには、各都道府県からB水準またはC水準といった特例水準の指定を受ける必要があり、そのためには医療機関勤務環境評価センターの評価を受けなければなりません。
今回は、BC水準の指定を受けるための評価センターの評価のポイントについて、ご説明いたします。
1.BC水準の指定に係る
都道府県・医療機関の手続の流れ
各都道府県からBC水準の指定を受けるためには、その前に、医療機関勤務環境評価センターの評価を受けなければなりません。よく誤解されている方がいらっしゃいますが、この評価センターは、日本医師会が直接運営しており、各都道府県医師会は関与していません。評価センターでは、医師と社会保険労務士のサーベイヤーが審査に当たりますが、自分の出身県の医療機関を審査することはなく、他県のサーベイヤーが、新規指定に当たってはWEBによって審査することになっており、審査基準の地域差はないと考えてよいと思います。
評価センターでの評価には、少なくとも4か月程度かかると言われ、その後、各都道府県では、それぞれの医療審議会に意見を聴取する必要がありますので、都道府県ごとの手続には数か月程度を要します。
したがって、医師の時間外労働時間規制が始まる令和6年4月までBC水準の指定を受けるためには、今年の春頃までには評価センターに評価受審の申込をする必要があります。この点、都道府県によって若干事情が異なり、埼玉県では今年の5月まで、東京都では6月までには評価センターの評価受審の申込をしてほしいと言っているようですので、それぞれの都道府県の医療勤務環境改善支援センターに確認していただくことをお勧めします。
2.評価センターの評価受審申込から評価結果通知まで
評価センターのホームページから評価受審の申込をしていただくと、基本情報・自己評価シートの作成依頼メールが送信されますので、メールを受領後、30日内に、基本情報・自己評価シートと根拠資料をシステムへ入力する必要があります。
評価センターの事務局が、提出された書類の不備等を確認した後、医師と社会保険労務士のサーベイヤーが書面評価を実施し、30日以内に評価センターに評価結果を報告することになっています。
その後、評価センターの審査部会の確認や評価委員会の審議が行われますが、評価において、労働関係法令及び医療法に規定された事項(必須項目)が未達成の場合や、必須項目以外の評価項目について、現時点における取組状況に改善の必要があるにもかかわらず、時短計画における今後の取組予定が不十分である場合には、評価センターではいったん評価を中断し、医療機関に対して一定期間(90日間)のうちに改善に向けた取組を実施するよう依頼されます。
以上のような審査を経て、最終的には、日本医師会の理事会によって評価が決定され、医療機関及び各都道府県に対し、評価結果が通知されます。
評価が滞ることなく実施できた場合は、医療機関及び都道府県に結果を通知するまでに4か月が見込まれていますが、評価が中断された場合には、さらに期間を要することになりますので、ご留意ください。
3.評価のポイント
(1)必須項目(18項目)
上表にある18項目は、労働関係法令及び医療法に規定された事項ですので、ひとつでも未達成のものがあると、評価保留になってしまいます。これらの中で、これまで評価センターの説明などにより明らかにされているいくつかのポイントをご説明いたします。
「4.追加的健康確保措置の体制を整備するために、勤務間インターバルと代償休息に関するルールをいずれも定めている」
正式に決定されたルールでなくても、ルール案でもよいそうですが、解説集に示された勤務間インターバル・代償休息の規定例を参考に検討してください。
その際、連続勤務時間制限・勤務間インターバル規制等については、厚生労働省 第13回医師の働き方改革の推進に関する検討会 資料1が大変参考になりますので、ぜひご参照ください。
「6. 就業規則、賃金規程を作成し、定期的に見直しを行い、変更を行った際には周知されている」
法改正に即した就業規則、賃金規程が確認資料として提出されない場合は評価保留となりますので、例えば、令和4年4月と10月に施行された育児介護休業法改正に対応した内容になっているかなどを確認してください。
「9.常勤・非常勤医師に対し、雇用契約を医師個人と締結し、雇用契約書又は労働条件通知書を書面で交付している」
大学の医局などから派遣されている医師ひとりひとりに対して、雇用契約書又は労働条件通知書を書面で交付されている病院は、現状では少ないと思いますが、法定事項が記載された雇用契約書又は労働条件通知書を整備するようにしましょう。
「14.36協定の締結当事者となる過半数代表者が適切な選出プロセスを経て選出されている」
医師を対象とした36協定であっても、過半数代表者は必ずしも医師である必要はなく、全職員の過半数代表者であればよいとされています。
「16.医師を含む関係者が参加する合議体で議論を行い、医師労働時間短縮計画を作成している」
合議体は、新たに設けるものでなくても、既存の衛生委員会を活用してもかまいません。
「20.評価を受ける医療機関における労働(滞在)時間を把握する仕組みがある」
労働時間の総計が把握できていなくても、把握する仕組みがあればよいとされています。
また、タイムカード等客観的な記録が望ましいですが、自己申告による記録でも認められます。ただし、自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか確認、補正できる措置が必要です。
「31.医師に対する面接指導の実施体制が整備されている」
eラーニングが未受講のときは、受講予定でもよいようですが、受講を完了したときに評価センターに報告する必要があります。
(2)必須項目以外の項目(新規指定の場合は、58項目)
具体的な項目は、下表のとおりですが、これらの項目について未達成の場合は、医師の労働時間短縮計画において、いつまでに何をするのかを具体的に記載するようにしてください。具体的な記載がありませんと、評価保留となってしまいますので、くれぐれもご注意ください。
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