今週のコラム第66号「医師事務作業補助者(医療秘書課)の業務活用」(2022年7月26日号)

いきいき働く医療機関サポートWeb(通称「いきサポ」)で紹介されている取組事例をご紹介します。

今回は、「医師事務作業補助者(医療秘書課)の業務活用【西宮協立脳神経外科病院、兵庫県、急性期機能】です。

 

取り組んだ内容

・チーム医療や多職種連携(業務分担・連携の強化等)

 により負担軽減を図っている。

補助職(医師事務作業補助者、看護補助者等)を配置している。

電子カルテを活用した業務効率化・省力化に取り組んでいる。

 

取組のきっかけ、背景、取組前の問題点

【はじめに】
 当院では、医師の業務負担軽減を目的に平成20年4月より医師事務作業補助者として   “Medical Assistant Team”(以下MAT)を導入した。しかし様々な所属からの混成チームであったため、電子カルテ導入を機に平成28年4月に医療秘書課を立ち上げた。現在11名が配属され医師事務作業補助体制加算1(15対1)の施設基準を届け出ている。


 また当院では、準備期間を含め、2015年5月より「骨リボン運動」と称して骨粗鬆症リエゾンサービス(以下OLS)を開始した。当院は急性期病院であり患者の入れ替わりの早い病院のため、多忙である医師単独ではOLS導入が困難であった。そのため2015年9月よりサービス管理の向上を目的にOLS活動に医療秘書課が介入した。

【課題】

 退院サマリを作成する際、インフォコム社のMedi Bankシステムを用いて、医師本人による入力とMATによる代行入力を並行して行っているが、医師ごとの作成時期のばらつきなどによる非効率な業務遅延が日常的に発生しており、医師とMAT双方での作成状況の把握や退院後14日以内完成の管理体制改善が必要となった。

 

取組対象

  • 取組対象
    医師,コメディカル,看護職
  • 取組の中心部署・人物
    医師、看護師、医療秘書課、MSW
  • 取組詳細
    【取り組み】
    1.MATの業務効率化及び完成率管理において以下の3項目の取り組みを行った。
     ① 退院サマリ運用の見直し
       ・医師の管理フラグ使用方法の統一化(各フラグの役割の明確化)
       ・退院サマリ運用フローチャートの見直し(旧/新フローチャートの対比)
     ② Medi Bankシステムの管理フラグの追加
       ・MATフラグの追加→医師とMATで使用する管理フラグの区別化
     ③ 完成率管理ソフトの院内開発
       ・各管理フラグでのデータ抽出
       ・医師とMAT作成においての完成率比較
    2.OLS活動への介入
    病棟回診業務へ医療秘書課が同行し、医師と双方で患者状況を共有した。その上で管理データを基に医療秘書課よりOLS導入の提案、骨密度計測検査の提案、薬物治療開始の提案を医師に行い、結果説明や薬物治療開始までの管理を行った。

    【結果】
    1.個々の退院サマリにおいて常に医師とMAT間で作成状況の把握ができるようになり、記載開始から完成までの作成時間の短縮、MATの業務効率化が可能となった。
    また、管理においても医師別・科別の作成状況(督促リストも抽出可能)、件数、完成率の3つを把握することが容易となり、リアルタイムのデータを提供できる管理体制となった。
    2.医療秘書課の介入により、OLSの導入率、骨密度計測実施率、薬物治療開始率が改善した。これは、医療秘書課から医師への声かけによりOLS導入の漏れが少なくなったため導入率が改善したのではないかと考えられる。また情報を医師と共有し回診に同行することにより、回診時に検査、薬物治療の開始がスムーズに行われるようになったため骨密度計測実施率、薬物治療開始率が改善した。

    【今後の取り組み】
    1.今後は、これまでの実績をもとに医師別・科別のニーズを把握した上で、医師が求める支援内容や方法について考え業務拡大へ繋げていけるように取り組んでいきたい。
    2.脆弱性骨折患者の二次骨折予防を目的としたOLS活動を隙間なく行なうためには、日常診療で多忙な医師にかわり管理業務を行なう。

 

実施後の成果

【骨リボン活動に対する評価】

・2020年国際骨粗鬆症財団より二次骨折予防に対する取り組みとして金賞を受賞。

 

【補助職の職員数】

・H28開設時11人→令和2年12人

 

【超過勤務時間数】

・整形外科病棟で医師の時間外勤務時間が1日2時間短縮

 

【退院サマリ・文書作成】
・医師に代わり医療秘書課が代行作成を開始して以後、全科において14日以内作成率100%で

 キープ


【医師満足度調査】
・平均満足度(H28~H31):93.2% 3年連続で9割以上の満足度をキープ。開設当初より、

 医師へ年1回のアンケート調査を開始。

 

【OLS導入率】
・93.4%(52.4%アップ)
・医師に代わり対象患者をピックアップすることで漏れが少なくなり、導入開始率の向上に

 つながった


【骨密度計測検査実施率】
・77.7%(57.2%アップ)
・病棟回診へ同行することにより、対象患者に対する検査実施を医師に助言


【薬物治療開始率】
・77.4%(62.9%アップ)

・病棟回診へ同行することにより、対象患者に対する薬物処方を医師に提案

 

 

これまでの取組成果に対する院内の声・反応

 2019年5月に、法人内施設職員全員を対象とする研修会にて、個人、チームでの活動に対する表彰式が行われた。骨リボンの活動に対し、国際骨粗鬆症財団より銀賞の認定を受けたことが評価された。医療秘書課も骨リボンチームの一員として骨粗鬆症治療に貢献した。国際骨粗鬆症財団からは、2020年7月に再申請し、金賞の認定を受けている。

 

 医師からの評価も高く、毎年行われる医師への満足度調査でも高評価を得ている。いつも助かっている、という評価が多いが、事務仕事は数字での評価がされにくい。その点では、それぞれが目標を持ちにくいとも言える。しかし、骨リボン活動については、自分たちの介入がどのように反映されるかを数字を出して振り返り、医師にも報告している。そのため、医師からの信頼を得ることに繋がっていると考えている。

 

今後の課題等について

 医師への働きかけ:回診や退院後の受診時に検査・処方が開始できるようなシステムの

          構築。

 患者さんへの働きかけ:外来受診中断となってしまった方に対し、受診を啓発していける

            ようなシステムの構築。

 調査の継続:骨リボン運動の調査は治療継続の一助になると考えられる。現在は3年間の

       フォローであるが、さらに長期間にわたるフォローが必要。

 地域への啓発活動:骨折リスクの評価に基づく骨粗鬆症治療の開始。市民健康講座での

          FRAX実施、地域連携による骨粗鬆症治療の開始。

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