今週のコラム第64号「労働基準監督署の指摘を踏まえた時間外労働削減に向けた包括的な取組」・「医師の正確な労働実態把握のための労務管理整備に関する取組」(2022年7月5日号)

いきいき働く医療機関サポートWeb(通称「いきサポ」)で紹介されている取組事例をご紹介します。今回は、「労働基準監督署の指摘を踏まえた時間外労働削減に向けた包括的な取組【聖路加国際病院、東京都、急性期機能】」と「医師の正確な労働実態把握のための労務管理整備に関する取組【済生会横浜市東部病院、神奈川県、急性期機能】です。

 

「労働基準監督署の指摘を踏まえた時間外労働削減に向けた包括的な取組【聖路加国際病院、東京都、急性期機能】」

 

取り組んだ内容

 体制の整備、業務と自己研鑽等の業務外作業の定義明確化、時間外労働時間の削減、正職員について多様な勤務形態(短時間勤務、短日勤務、交代制勤務、フレックスタイム制など)の活用、夜間診療体制・土曜診療の見直し

 

取組のきっかけ、背景、取組前の問題点

 当院は平成 28 年 6 月に、労働基準監督署 の立ち入り検査 を 受けた。検査時、労働基準監

督署は、以下のような見解を示した。

 ・医師 は労働者であり、裁量労働制が認められない以上時間管理すべきである
 ・在院時間は原則として労働であるという推定が働くため、労働でない(教育 や 研修)と   いうのであれば、その証明は病院側がすべきである
 ・夜間勤務においては、当直ではなく通常の夜間勤務であり、時間外勤務手当と法定深夜割

  増手当が支払われる必要がある

 上記労働基準監督署の見解を踏まえて 、医師の労働時間に関して36 協定等を踏まえた上での時間管理、業務、診療体制の見直しを行う必要が生じた。

 

取組対象

  • 取組対象
    医師
  • 取組の中心部署・人物
    院長、医師
  • 取組詳細
    ・本件に関わる事務スタッフを 3 チームに分け、それぞれの役割を定義し、施策を効果的に推進した
    ・定義明確化: 「業務」と「自己研鑽」や「業務外の研究」を整理し、一覧表の形で院内で共有した
    ・勤怠管理表を更新し、時間外業務を週次で申請する体制とした
    ・医師 に 特有の業務を踏まえた勤務環境を整備する目的で変形労働時間制を導入した
    ・36 協定を踏まえた診療体制の見直しを行い、院長名で患者へ土曜診療見直しの説明掲示を行った

 

実施後の成果

当院における医師の月平均時間外労働時間は、 労基署検査以前は94 時間以上であったが 4 ヶ月で 60 時間未満、12 ヶ月で40時間未満 となった。

夜勤 明け業務が 減ったため、患者さんに 対しこれ まで以上 にめりはりのきいた対応 ができるようになった側面もあるのではないかと考えている。

 

これまでの取組成果に対する院内の声・反応

 入手した情報を適切に開示し、組織内コミュニケーションをとることを重視して、チーフレジデントと協力して取組を推進していった。

 

医師の正確な労働実態把握のための労務管理整備に関する取組【済生会横浜市東部病院、神奈川県、急性期機能】

 

取り組んだ内容

労働時間設定改善に関する労使間の話し合いの機会を設けている

医師の打刻率向上を実現させるための仕掛けの導入

医師の勤務実態に応じて選択可能にしたシフト作成

 

 

取組のきっかけ、背景、取組前の問題点

・診療報酬の算定要件には、医師の人数等、医師の存在自体を要件としている項目もある。そのため、医療法で取り決められている週 32 時間以上勤務( 32 時間未満は非常勤としてカウントされる)を超えているか否かが重要であり、正確な労働時間の把握が必要とされた。

 当院では、医師の労働時間管理を紙で管理していた時期があり、正確な時間管理を行えていなかった。また、医師によっては外勤を行うケースもあり、院内で診療を行っている時間を正確に把握していなかった。そのため、出退勤時間や医師の業務内容の把握のための取組を行うこととした。

 

取組対象

  • 取組対象
    医師
  • 取組の中心部署・人物
    統括医院長補佐、医師
  • 取組詳細
    ・医師の労務管理が必要であったことから統括院長補佐を中心に労務管理のための取組を段階的に実施 し、最終的により実態に即した勤務時間管理や報酬管理に繋げると説明した。
     病院、医師ともに win win の関係であることを委員会や会議で繰り返し伝え医師の同意を得た。
    ・レコーダーの設置場所は医師の意見を反映させ、増設や移設を柔軟に対応し、医師が打刻しやすい環境を整えている。
    ・診療科毎の打刻率を毎月開示し、医局会等様々な会議体で打刻を呼び掛けている。
    ・科によっては始業前の 7 時 30 分からカンファレンスを行っていた。シフト作成の義務化にあたり、上記のような業務を勤務時間と認め、働き方に合わせシフトを選択制
    (① 7 時 30 分 ② 8 時 30 分 ~)にした。また、シフト作成により医 療法の要件(週 32 時間以上院内勤務)を充たしていることの証明に繋がった。

 

実施後の成果

打刻率が90%に達している。

シフト表の作成は取組を開始して数ヵ月だが、既に全ての医師からシフト表が提出されている。定量的な成果は今後の検証になる。これまで医師の正確な労働実態を把握できていなかったが、シフト表を作成したことで、医師の行動を把握できるようになった。

 

これまでの取組成果に対する院内の声・反応

・診療科別 の打刻率や他職種の打刻率を見ることで、自身も打刻をする意識が芽生えた。また、様々な会議体で説明があったことも打刻を意識したきっかけになっている。

・シフト表を個人で作成して提出することで、これまで週あたりの労働時間を意識していなかったが、時間を意識した働き方ができるようになった。

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