今週のコラム第57号「カスタマーハラスメント対策
企業マニュアル(厚生労働省)」(2022年3月29日号)

病院、クリニック、介護事業所などにおいても、患者や利用者などからの著しい迷惑行為にどのように対応したらよいか、頭を痛めるケースが少なからずあるのではないでしょうか。

厚生労働省は、このたび「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を作成し、公表しましたが、病院などにおいても、参考になると思います。今回は、そのポイントについてご紹介します。

 

1.カスタマーハラスメントとは

 顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業瑣境が害されるもの

 

「顧客等の要求の内容が妥当性を欠く場合」の例

 ・企業の提供する商品·サービスに瑕疵·過失が認められない場

  ・要求の内容が、企業の提供する商品·サービスの内容とは関係がない場合

 

 「要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当な言動」の例

(要求内容の妥当性にかかわらす不相当とされる可能性が高いもの)

  ・身体的な攻撃(暴行、傷害)

  ・精神的な攻撃(脅追、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言)

  ・土下座の要求                                                                     

  ・継続的(繰り返し)、執拗(しつこい)な言動                                      

  ・拘束的(不退去、居座リ、監禁)な行動                       

  ・性的な言動 等

(要求内容の妥当性に照らして不相当とされる場合があるもの)

  ・商品交換の要求

  ・金銭補償の要求等

 

2.カスタマーハラスメントの判断基準

 各社であらかじめカスタマーハラスメントの判断基準を明確にしたうえで、企業内の

考え方、対応方針を統一して現場と共有しておくことが重要です。

 

 ① 顧客等の要求内容に妥当性はあるか

   顧客等の主張について、ますは事実関係、因果関係を確認し、自社に過失がないか、

  根拠のある要求がなされているかを確認し、顧客等の主張が妥当かどうか判断します。

 

 ② 要求を実現するための手段・態様が社会通念に照らして相当か

   顧客等の要求内容の妥当性の確認と併せて、その要求を実現するための手段・態様が

  社会通念に照らして相当な範囲であるかを確認します。

 

 なお、殴る・蹴るといった暴力行為は、直ちにカスタマーハラスメントに該当すると判断

できることはもとより、犯罪に該当しうるものです。

 

3.カスタマーハラスメント対策の基本的な枠組み

【カスタマーハラスメントを想定した事前の準備】

 ① 事業主の基本方針・基本姿勢の明確化、従業員への周知・啓発

・組織のトップが、カスタマーハラスメント対策への取組の基本方針・基本姿勢を明確に

 示す

・カスタマーハラスメントから、組織として従業員を守るという基本方針·基本姿勢、

  従業員の対応の在り方を従業員に周知·啓発し、教育する

 

② 従業員(被害者)のための相談対応体制の整備

・カスタマーハラスメントを受けた従業員が相談できるよう相談対応者を決めておく、

 または相談窓口を設置し、従業員に広く周知する

・相談対応者が相談の内容や状況に応じ適切に対応できるようにする

 

③ 対応方法、手順の策定

・カスタマーハラスメント行為への対応体制、方法等をあらかじめ決めておく

 

④ 社内対応ルールの従業員等への教育・研修

・顧客等からの迷惑行為、悪質なクレームヘの社内における具体的な対応について、従業

 員を教育する

 

【カスタマーハラスメントが実際に起こった際の対応】

⑤  事実関係の正確な確認と事案への対応

  ・カスタマーハラスメントに該当するか否かを判断をするため、顧客、従業員等からの

  情報を基に、その行為が事実であるかを確かな証拠·証言に基づいて確認する

・確認した事実に基づき、商品に瑕疵がある、またはサービスに過失がある場合は謝罪

 し、商品の交換・返金に応じる瑕疵や過失がない場合は要求等に応じない

 

⑥ 従業員への配慮の措置

被害を受けた従業員に対する配慮の措置を適正に行う(一人で対応させず、複数名で、

組織的に対応するメンタルヘルス不調への対応等)

 

⑦ 再発防止のための取組

・同様の問顆が発生することを防ぐ(再発防止の措置)ため、定期的な取組の見直しや

 改善を行い、継続的に取組を行う

 

⑧ ①までの措置と併せて講すべき措置

・相談者のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、従業員に周知する

・相談したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、従業員に

 周知する

 

4.カスタマーハラスメントに発展させないために

【発展させないためのステップ】

 ① 対象を明確にして謝罪する。

   対象を明確にしたうえで限定的に謝罪します。

   「このたびは不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ありません」といったように不快

  感を抱かせたことに謝ります。正確に状況が把握できていない段階では、企業として非を

  認めたような発言はせず、事実確認をして社内で判断したときに、過失の程度に応じた

  謝罪をします。

 

 ② 状況を正確に把握する。

   顧客等が主張する内容を正確に把握します。顧客等から話を聞く際には、途中で発言を

  遮ることや反論をせず、まずは一通り事情を確認します。

   一通り事情を確認した後、顧客等が話す内容に不明確なものがあれば確認をし、不足す

  る情報があれば追加で意見をもらい、顧客等の勘違いがあれば正しい情報を提供します。

 

 ③ 現場監督者(一次相談対応者)または相談窓口に情報共有する。

   顧客等から確認した情報は、現場監督者または相談窓口対応者に共有します。

   相談対応者が正確かつ迅速に状況を把握するため、現場対応者は顧客等の要望のみなら

  ず、出来るだけ事実関係を時系列で整理して報告します。

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