今週のコラム第34号「副業・兼業の労働時間管理の方法」
(2021年8月3日号)

今週のコラム第1号(2020年9月29日号)において、「医師の兼業」について取り上げましたが、今回は、もう少し具体的な副業・兼業の労働時間管理の方法について解説してみたいと思います。

 

1.副業・兼業を始める前に

 使用者は、当然には労働者の副業・兼業を知ることができないため、労働者からの申告等により、 副業・兼業の有無・内容を確認することが考えられます。

 

 使用者は、副業・兼業が労働者の安全や健康に支障をもたらさないか、禁止または制限しているものに該当しないかなどの観点から、副業・兼業の内容として次のような事項を確認することが望まし いです。

 

 (基本的な確認事項)

  ① 副業・兼業先の事業内容

  ② 副業・兼業先で労働者が従事する業務内容

  ③ 労働時間通算の対象となるか否かの確認(※)

 (労働時間通算の対象となる場合に確認する事項)

  ④ 副業・兼業先との労働契約の締結日、期間

  ⑤ 副業・兼業先での所定労働日、所定労働時間、始業・終業時刻

  ⑥ 副業・兼業先での所定外労働の有無、見込み時間数、最大時間数

  ⑦ 副業・兼業先における実労働時間等の報告の手続

  ⑧ これらの事項について確認を行う頻度

 

  ※ 次のいずれかに該当する場合は、その時間は通算されません。

  ・ 労基法が適用されない場合(例 フリーランス、独立、起業、共同経営、アドバイ

   ザー、コンサル タント、顧問、理事、監事等)

  ・ 労基法は適用されるが労働時間規制が適用されない場合(農業・畜産業・養蚕業・

   水産業、管理監督者・機密事務取扱者、監視・断続的労働者、高度プロフェッショナル

   制度)

     なお、これらの場合においても、過労等により業務に支障を来さないようにする

    観点から、その者からの申告等により就業時間を把握すること等を通じて、就業時間

    が長時間にならないよう配慮することが望ましいです。

 

 労働時間の通算方法は、(1)原則的な労働時間管理の方法 と(2)簡便な労働時間管理の方法(以下「管理モデル」といいます。) の二通りありますが、どちらの方法にするかは、副業・兼業を行う労働者ごとに、それぞれの医療機関、介護事業所等で取り入れやすい方法を採用して ください。

 

 (1)所定労働時間の通算(原則的な労働時間管理の方法)

 上記で確認した副業・兼業の内容にもとづき、自医療機関等の所定労働時間と副業・兼業先

の所定労働時間を通算し、時間外労働となる部分があるかを確認します。

 所定労働時間を通算した結果、自医療機関等の労働時間制度における法定労働時間を超える

部分がある場合は、その超えた部分が時間外労働となり、時間的に後から労働契約を締結した

医療機関等が自医療機関等の36協定で定めるところによってその時間外労働を行わせることに

なります。

 (2)管理モデルの導入(簡便な労働時間管理の方法)

 副業・兼業の日数が多い場合や、自社と副業・兼業先の双方で所定外労働がある場合などにおいては、労働時間の申告等や労働時間の通算管理において、労使双方の手続上の負荷が高くなることが考えられます。管理モデルは、そのような場合において、労使双方の手続上の負荷を軽くしながら、労働基準法に定める最低労働条件が遵守されやすくなる方法で、具体的な方法は以下のとおりです。

 

 ① 副業・兼業の開始前に、

 (A)当該副業・兼業を行う労働者と時間的に先に労働契約を締結していた使用者(以下

  「使用者A」といいます。)の事業場における法定外労働時間

 (B) 時間的に後から労働契約を締結した使用者(以下「使用者B」といいます。)の事業

  場における労働時間(所定労働時間及び所定外労働時間)

 を合計した時間数が時間外労働の上限規制である単月100時間未満、複数月平均80時間以内

 となる範囲内において、各々の使用者の事業場における労働時間の上限をそれぞれ設定

 する。

 ② 副業・兼業の開始後は、各々の使用者が①で設定した労働時間の上限の範囲内で労働

  させる。

 ③ 使用者Aは自らの事業場における法定外労働時間の労働について、使用者Bは自らの事業

  場における労働時間の労働について、それぞれ自らの事業場における36協定の延長時間の

  範囲内とし、割増賃金を支払う。

 

【管理モデルのイメージ】

 〇 Aに所定外労働がある場合(A・Bで所定外労働が発生しうる場合に、互いの影響を受けな

  いようあらかじめ枠を設定)

※上図で示している時間外労働の上限規制(月100時間未満、複数月平均80時間以内)は、
あくまでも法律上の上限です。実際の副業・兼業によって、労働時間を通算して法定労働
時間を超える場合には、長時間の時間外労働とならないようにすることが望ましいです。

 〇 Aに所定外労働がない場合

※上図は、Aに所定外労働がない場合のイメージですが、Aが法定労働時間の範囲内で所定外
労働の上限を設定するような場合においても、同様の考え方で対応することが可能です。

2.副業・兼業が始まったら

 (1)所定外労働時間の通算(原則的な労働時間管理の方法)

 副業・兼業の開始後は、自医療機関等の所定外労働時間と副業・兼業先における所定外労働時間とを当該所定外労働が行われる順に通算します。

 1の(1)の所定労働時間の通算は、労働契約締結の先後の順となっており、所定労働時間と所定外労働時間で通算の順序に関する考え方が異なる点に注意してください。

 自医療機関等社と副業・兼業先のいずれかで所定外労働が発生しない場合の取扱いは、以下のとおりです。

 ・ 自医療機関等で所定外労働がない場合は、所定外労働時間の通算は不要

 ・ 自医療機関等で所定外労働があるが、副業・兼業先で所定外労働がない場合は、自医療機

  関等社の所定外労働時間のみ通算する

 通算した結果、自医療機関等の労働時間制度における法定労働時間を超える部分がある場合は、その超えた部分が時間外労働となり、そのうち自ら労働させた時間について、自社の36協定の延長時間の範囲内とする必要があるとともに、割増賃金を支払う必要があります。

 (2)管理モデルの実施(簡便な労働時間管理の方法)

 1の(2)で設定した労働時間の上限の範囲内において労働させます。

 使用者Aはその法定外労働時間※について、使用者Bはその労働時間について、それぞれ割増賃金を支払います。

 ※使用者Aが、法定外労働時間に加え、所定外労働時間についても割増賃金を支払うことと

  している場合には、使用者Aは所定外労働時間の労働について割増賃金を支払うことに

  なります。

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