今週のコラム第12号「育児休業期間中の人事評価、退職金の算定」
(2021年1月12日号)

最近、弊社のお客様から、育児休業期間中の人事評価や退職金の算定はどのようにすればよいでしょうか、という質問をいただきました。今後、男性の育児休業取得も促進されますので、今回は、これらの点について、解説いたします。

 

1.育児休業期間中の人事評価

 

育児介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号))第10条では、労働者が育児休業をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならないとしています。

 

また、育児・介護休業に関する厚生労働省の指針(子の養育又は家族の介護を行い、または行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針(平成21年厚生労働省告示第509号))では、昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うことは、解雇その他不利益な取扱いとなる行為とされています。

 

この「昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと」の例として、次の2つの例があげられています。

 ① 育児休業をした労働者について、休業期間を超える一定期間昇進・昇格の選考対象とし

  ない人事評価制度とすること。

 ② 実際には労務の不提供が生じていないにもかかわらず、育児休業の申出等をしたこと

  のみをもって、当該育児休業の申出等をしない者よりも不利に評価すること。

 

この点に関し、平成31年4月24日、大阪地方裁判所において、次のような判決がありました。

 

原告の男性は、2012年から近畿大学教職教育部で社会科の講義等を担当。2015年11月から9か月間、第4子の誕生に合わせて育休を取得しました。男性は毎年4月に定期昇給していましたが、2016年は育休で「前年度に12か月間勤務」という給与規程の昇給条件を満たしていないとして、復職後も昇給しませんでした。

 

判決は、定期昇給は在籍年数に応じて一律に実施され、年功賃金的な考え方が原則だと指摘。育休を取った職員を昇給させないのはこの趣旨に反し、将来的にも昇給が遅れて違法だとして、定期昇給で得られたはずの基本給や賞与との差額分の支払いを命じました。(平成31年4月25日 朝日新聞)

 

この判決では、職務能力を反映しない、いわゆる年功序列的な定期昇給制度が対象となっていますが、仮に職務能力を反映していたとしても対象期間(12か月間)のうち、一部(9か月間)しか休業していない者について、全く昇給を認めないことは合理的とはいえないとされています。

 

したがって、人事評価期間中に育児休業によって一定期間勤務しない期間がある場合、「解雇その他不利益な取扱い」となることを避けるためには、例えば、人事評価の対象を、評価の対象期間から育児休業期間を除いた期間にするとか、人事評価の対象期間について一定期間以上勤務していることを求めていて、育児休業によってその期間を満たさない場合には、その前の対象期間を含めて判断できるにするといった工夫が必要でしょう。

 

2.育児休業期間を退職金の算定期間から除くこと

 

厚生労働省が示している「育児・介護休業等に関する規則の規定例」では、次のような規定があります。

「退職金の算定に当たっては、育児・介護休業をした期間を勤務したものとして勤続年数を計算するものとする。」

 

 

一方、育児・介護休業に関する厚生労働省の指針では、次のように規定されています。

「退職金や賞与の算定に当たり現に勤務した日数を考慮する場合に休業した期間若しくは休暇を取得した日数又は所定労働時間の短縮措置等の適用により現に短縮された時間の総和に相当する日数を日割りで算定された対象期間から控除すること等専ら当該育児介護休業等により労務を提供しなかった期間は働かなかったものとして取り扱うことは、不利益な取扱いには該当しない。」

 

もちろん、育児休業によって現に働かなかった期間を超えて、退職金の算定期間から除くことは許されませんが、育児休業期間を退職金の算定期間に含めるかどうかは、各事業所の判断に委ねられていると言えます。

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