今週のコラム第2号「就業禁止の対象疾病」(2020年10月6日号)

ある事業所において就業規則の見直し作業を行っているときに、次のような質問をいただきました。

 

「従業員を就業禁止しなければならない対象疾病のリストを教えてください。」

 

現在の新型コロナウイルスの感染拡大により、職場での就業禁止の対象疾病に関心が高まっています。

 

労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)では、次のように規定されています。

 

「第61条 事業者は、次の各号のいずれかに該当する者については、その就業を禁止しなけれ

 ばならない。ただし、第1号に掲げる者について伝染予防の措置をした場合は、この限りで

 ない。

  1 病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかった者

  2 心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるものにかか

   った者

  3 前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものにかかった者

 ② 事業者は、前項の規定により、就業を禁止しようとするときは、あらかじめ、産業医そ

  の他専門の医師の意見をきかなければならない。」

 

第1号の「病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病」とは、通達によると、「伝染させるおそれが著しいと認められる結核」とされています(平成12年基発第207号)。ただし、伝染予防の措置(ツベルクリン皮内反応陽性者のみに接する業務に就かせること)をした場合は、就業禁止の措置は必要ありません。

 

また、第3号の「前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるもの」は、現在のところ、定められていません。

 

このように、労働安全衛生規則に基づき、事業者が従業員を就業禁止しなければならない対象疾病は、結核と「心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるもの」に限られます。しかも、結核については、ツベルクリン皮内反応陽性者のみに接する業務に就かせる場合には、就業禁止にする必要はありません。

 

ところで、感染症法(「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)」という法律にも就業制限の規定があります。

 

すなわち、感染症の患者や無症状病原体保有者(またはその保護者)は、都道府県知事から感染症法第18条第1項による通知を受けた場合には、同条第2項に基づき、病原体を保有しなくなるまでの期間、飲食物に直接接触する業務及び接客業その他多数の者に接触する業務に従事することが禁止されます(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則(平成10年厚生省令第99号)第11条第2項及び第3項)。

 

新型コロナウイルスは、この感染症法に基づく就業制限の対象となる指定感染症に指定されています(令和2年政令第11号)。

 

したがって、新型コロナウイルスに感染したことによって就業制限をする場合には、労働安全衛生規則で求められている産業医等の意見をきく必要もありませんし、休業手当を支払う必要もありません。

 

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