今週のコラム第121号「あらためて今、なぜ医師の働き方改革か。」(2024年1月9日号)

いよいよ令和6年が始まり、医師の時間外労働時間規制が始まる4月まで、残すところ3か月となりました。皆様の医療機関では、順調に準備を進められていますでしょうか。弊社が支援をしている医療機関の中でも、いまだに医師の皆様の理解が進まず、大変苦労されているところがあります。

そこで、今回は、あらためて今、なぜ医師の働き方改革かという点について確認し、医師の皆様の理解を深めていただければと思います。

 

「あらためて今、なぜ医師の働き方改革か。」

 

1.医師の健康状態は、危機的な状況。

 まず、次のスライドにあるように、我が国において、

「医師は、すべての職種の中で、最も労働時間が長い」という現実を知ってください。

 また、日本の医師の「3.6%が自殺や死を毎週または毎日考える」(※1)こと、

「6.5%が抑うつ中等度以上」であること、「半数近くが睡眠時間が足りていない」こと。

 そして、「76.9%がヒヤリ・ハットを体験している」ことなどを知ってください。 

 昨年も、神戸市の病院の医師の過労自殺が大きく報道されましたが、こういう現実を放っておくと、医師の命にかかわるとともに、確実に医療の現場は崩壊します。

2.今後、生産年齢人口が急減する中で、いかに医師を確保するか。

 今後、少子・高齢化がさらに進みますが、特に深刻なのが、15歳から64歳までの生産年齢人口が急減することです。

 次のスライドにあるように、我が国の生産年齢人口は、2020年には7,509万人であったのが、2040年には6,213万人となり、この20年間で約1,300万人減少するわけですが、その数は、なんと東京都の人口(1,384万人 2023年1月現在)に匹敵します。

 このように生産年齢人口全体が急減していき、労働力のパイがますます減っていきますので、医療業界全体と他の業界との間で労働力を確保するための競争がますます激しくなり、また、医師に限ってみても、診療科間や医療機関間で、いかに採用競争力を高めるかが大きな課題となります。

 その場合、若い医師に対していかに魅力的な職場にするかということも重要ですが、高齢や女性の医師にとっても働きやすい診療科や医療機関にすることが必要です。

 全医師数に占める女性医師の割合は、次のスライドにあるように、増加傾向にあり、

令和2年時点で22.8%を占めます。

 また、近年、若年層における女性医師は増加しており、医学部入学者に占める女性の割合は約3分の1となっていますので、全医師数に占める女性医師の割合はますます増加することが見込まれ、医療現場は、女性が働き続けられることが当然の前提になるでしょう。

 次のスライドは、全国の外科医師数の年次推移をみたものです。外科医師は、医師の中でも最も厳しい勤務環境にあると言われており、その総数は、平成10年の2,8871千人から令和2年の2,7946千人に若干減少していますが、注目していただきたいのは、その年齢構成の変化です。

 平成10年には、39歳以下が42.0%、29歳以下が11.7%であるのに対し、令和2年には、39歳以下が28.8%、29歳以下が5.4%と、若い世代の割合が激減しています。

 また、先ほどご説明したように、全医師数に占める女性医師の割合は、令和2年時点で22.8%となっていますが、外科医師数に占める女性の割合は、その半分の10.6にすぎません。

 今の状態を続ければ、外科医療の将来はどうなるでしょうか。

 もっと若い医師や女性医師が外科医師を選択できる労働環境を整える必要があります。このことは、個別の医療機関においてもあてはまると考えます。

 つまり、医療機関が、若い医師や女性医師にとって働きやすく、魅力的な職場を提供できなければ、早晩、必要な医師数を確保できず、それぞれの地域にとって、安心・安全な医療を提供することが難しくなってしまいます。

2.医師の労働時間を短くすればよいとだけ考えていませんか。

 

 弊社では、医師の働き方改革は、「手段」であって、「目的」ではないと考えています。

 

 もし医師の労働時間短縮を「目的」だと考えると、どうなるでしょうか。

 

 ① 診療時間を短くすればよい。(土曜休診など)

 

 ② 先輩医師の診療・手術の見学ができなくなり、医療技術の伝承が難しくなる。

 

 その結果、多くの方々が心配するように、地域医療は崩壊します。

 

 それでは、医師の働き方改革が「手段」だとすると、その目的は何でしょうか?

 

 ① 医師の長時間労働の是正 

    医師の健康確保と安全な医療の提供

 

 ② 医師は医師免許が必要な業務に特化

   看護師等コメディカルもそれぞれの専門能力を最大限に発揮

   医師事務作業補助者の活用 ICT・医療DXの推進

    ムリ・ムダを排除し、病院全体の生産性・収益力の向上

 

 ③ 全スタッフのワークライフバランスの確保・働きやすい環境の整備

     離職率の低下・採用競争力の向上

     女性医師の活躍

     専門能力の向上    

     多様な価値観による新しい発想

      → 患者サービスの向上

 

 令和6年度は、診療報酬が改定され、新しい医療計画が始まり、コロナ補助金も打ち切られ、各医療機関にとって厳しい経営環境となりますので、その中で、医師の時間外労働時間規制に対応することは、大変なことと思います。

 しかしながら、医師の健康問題や、生産年齢人口が急減する中での医師の確保も、喫緊の課題だと言えます。

 ぜひ医師の働き方改革を、①医師の健康確保と安全な医療の提供、②病院全体の生産性・収益力の向上、③患者サービスの向上という、3つの目的を達成するための手段だと考え、このピンチをチャンスととらえ、前向きに取り組んでいただきたいと思います。

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