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皆様の病院で医師の働き方改革を進めるに際し、人事担当者に任せっきりになってはいませんか。
今回は、制度の変更に柔軟に対応できる事務職員をはじめ、医師の働き方改革をより推進しやすい体制を段階的に構築し、様々な取組を推進している事例をご紹介します。
【事務職員を含めた院内全体で推進する
タスク・シフト/シェア等の働き方改革】
(芳賀赤十字病院(栃木県真岡市))
※ 364床 職員数 708名(医師 78名、看護師 345名、他) 急性期
取組前の状況
【制度の変化に柔軟に対応可能な体制】
• 医師の働き方改革関連法等、様々な制度が制定・改正される中、制度の変更に柔軟に対応
できる事務職員の必要性が高まった。
• 事務職員がいち早く情報収集・分析し、制度や自院への影響等を理解し、幹部との情報共
有や院内の体制構築、対策の検討等が求められた。
• 以前は、人事担当者1人で働き方関連の制度変更に対応していたが、担当職員の負担が重
くなっていた。そこで、院長が特定社会保険労務士を紹介し、専門家に相談しながら対応を
推進できるようにした。さらに、院長や総務課長を巻き込み、取組の検討を実施する体制を
整備し、働き方推進担当職員を2名配置した。
• 病院幹部から働き方改革の重要度を示した結果、働き方改革をより推進しやすい体制を構
築でき、様々な取組を推進している。
取組の内容
【就業管理システムの導入】
事務職員を中心に就業管理システムの導入を推進した。
• 従来は紙ベースで運用していた時間外申請等のシステム化にあたり、システムの選定、マ
スター整備、給与システムとの連携、導入に向けたスケジュール調整等、事務職員を中心に
進めた。
• 環境が大きく変わることに対して不満を持つ職員も多かったため、全職員向けの説明会の
実施、個別での対応を行い、周知を徹底した。その結果、導入当初から、打刻、時間外申
請、休暇申請はほぼすべての職員が実施している。働き方改革を推進するには、院内職員の
協力が不可欠であり、丁寧に対応することが重要である。
• 時間外労働は医師自身にシステムへの入力を依頼していたが、入力する時期は医師に任せ
ていたため、大半の医師が次月になってから入力するような状態であった。タイムリーに実
態を把握するため、定期的にモニタリングし、時間外申請を入力してもらえるように医師に
依頼したり、月に2回入力を促すメールを配信している。これにより、時間外が多くなりそ
うな医師を早めにピックアップできる仕組み作りができている。
• 蓄積したデータを基に、国のガイドラインに沿って、医師の労働時間短縮の取組状況の評
価項目チェックシートの作成を行った。状況が変わり次第、随時チェックシートの内容は更
新している。
【労働時間の考え方の定義】
時間外労働の院内基準を作成し、定期的な案内も実施している。
• 「原則として労働時間に該当しないもの」として、厚生労働省労働基準局長の通知にある
「医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方について」を参考に自院としての基準を作成
し、周知を行った。
• ①上司の指示がないこと、②自由な意思に基づき実施していること、③業務上必須ではな
いことの3つの条件が満たされている場合は自己研鑽とする。
• まずは院内規定を作成し、医師に理解してもらうことが重要と考え、医師への説明等を早
期に実施した。
• 月に2回、院内メールを利用し、事務から医師へ時間外の考え方について案内を実施してい
る。
• 院内メール送付時には、研修医に対する時間外労働の申請についても説明し、理解促進に
取り組んでいる。
【兼業先の把握】
副業・兼業に伴う労務管理を適切に行うため、申請用紙を作成し、申請を促している。
• 兼業届の申請用紙を作成し、兼業有無や内容について確認できる仕組みを整え、医師に説
明し配布した。
• 院内の共有サイトに常時申請用紙を掲載し、必要に応じて、ダウンロードの上、必要事項
を記載して提出できるようにしている。
【産婦人科での部分的な宿日直許可の取得】
宿日直許可を取得せずに、時間外労働上限に収めることは容易ではないため、部分的に宿日直許可を取得した。
• 医師が当直日誌を正確に記載する文化が根付いていたため、当直日誌を基に不足している
情報を補い、医師になるべく負担をかけない方法で様式を作成した。
• 様式の作成と並行し、労働基準監督署に宿日直許可の取得に向けた相談や必要書類の確認
のために訪問した。取得に向けた流れや疑問点の相談ができたため、宿日直許可の取得がス
ムーズに進められた。
• 労働基準監督署への訪問後は、速やかに申請に進めるよう、あらかじめ準備可能な事務書
類の準備を進めた。データが蓄積されたら必要書類として整え、労働基準監督官による実地
調査を経て、部分的ではあるが産婦人科の宿日直許可の取得が実現した。
• 特定社会保険労務士からアドバイスを受け、院長とも打合せやシミュレーションを重ね、
医師の協力を得たことで、許可を取得することができた。
【タスク・シフトの推進】
多職種で構成する勤務医等負担軽減検討委員会を中心にタスク・シフトを推進している。
• 院内に勤務医等負担軽減検討委員会を設置している。委員会では、看護部、薬剤師、医療
専門職種、医師事務作業補助者が協力し、医師からタスク・シフト可能な業務を洗い出し、
達成状況の報告を実施している。新規に実施すべき取組がないかも検討しているほか、実績
に基づき計画を随時修正できるよう、進捗を確認している。
• 医師からのタスク・シフトだけでなく、看護師から看護補助者へタスク・シフト可能な業
務についても検討している。
医師事務作業補助者の処遇改善・意識向上を行っている。
• 院長と相談し、タスク・シフトに先駆け、医師事務作業補助者の処遇改善に取り組んだ。
• 従来は臨時職員や嘱託職員として採用していたが、研修の受講や資格取得等の一定の要件
を充足することにより、正職員として採用することとした。
• 養成学校への挨拶周りや就職説明会への積極的な参加により、医師事務作業補助者の業務
内容の説明や認知度の向上に取り組んだ。
• 院内で既に採用している医師事務作業補助者の意識向上や院内での役割の明確化を進め
た。従来は主任クラスが一部しかいなかったが、課内の組織とは別に医師事務作業補助者内
でもチームとリーダーを定め、体制を明確化した。
• 病院での実習を積極的に受け入れ、優秀な人材の確保に努めている。
• 各診療科における事例を発表する等、医師事務作業補助者の勉強会を毎月実施している。
【その他の取組】
他職種とのタスク・シフト/シェア
• 特定行為研修修了看護師の活用
医師間の業務整理及びタスク・シフト/シェア
• 内科、外科、小児科での宿日直許可の取得に向けたデータ収集
ICT活用
• ビーコンシステムの導入
• 音声入力の活用
• 分娩監視用システムの活用
• 電子カルテへのバイタル送信、院内のどこからでもバイタル確認ができるシステムの活用
• コロナ対応として、スマホでのCT画像確認システムの導入
• 遠隔投影システムの導入
取組の効果
【時間外勤務・有給取得率】
【医師事務作業補助者の定着】
• 令和2年度、令和3年度の医師事務作業補助者の退職者はゼロ
【タスク・シフトや医師の負担軽減支援の実績】
今後の展望
次の取組を推進する。
• 就業管理システムのさらなる適正な運用
• ビーコンを用いたデータ可視化及び活用
• 時間外労働と自己研鑽の考え方の浸透
• 当直許可を取得できるような体制整備の補助
• 変形労働制の検討
• 副院長以下所属長へ働き方改革への意識の醸成
• 年に1回の各診療科へのヒアリング実施
• 時間外・休日労働上限に向けた各種制度の周知徹底
• 医師の時短計画検討委員会の立ち上げ
• 医師、医師事務作業補助者の増員
• 院内保育所の設置
• 時間外カンファレンス、会議の縮小
〔「勤務環境改善に向けた好事例集(令和5年3月 令和4年度厚生労働省委託事業)」より〕
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