今週のコラム第98号「医師の働き方改革シリーズ第15回
『複数主治医制と休日当番制による年休取得、時間外勤務の
縮減』」(2023年5月30日号)

特定の医師の仕事を他の医師に分散することによって、特定の医師への業務の集中を軽減することができ、そのためのひとつの方法として、複数主治医制等のチーム制の導入があります。

今回は、複数主治医制と休日当番制による年休取得、時間外勤務の縮減の事例をご紹介します。

 

【複数主治医制と休日当番制による年休取得、時間外勤務の縮減】

(兵庫県立淡路医療センター(兵庫県洲本市))

※377床 766名(医師138名、看護師485名、他) 急性期 28科

 

取組前の状況

•  淡路島内で唯一の総合機能を有する医療機関であり、救急・専門医療において大きな役割を

 担っていることから、昼夜を問わず幅広い診療領域や症例に対応する必要がある。

•  消化器内科では内視鏡等の検査・処置や緊急入院が多く、日勤帯以外(早朝等)での病棟回

 診や、救急患者への対応、がん患者との面談等、医師の業務量が膨大

•  他方、離島であるため十分なマンパワーの確保が難しく、休日・夜間勤務の常態化が課題。

 

取組の内容

〈複数主治医制+休日当番制〉

 消化器内科では、入院患者1名に対して指導医・専攻医・研修医の計3名から成る主治医団を形成。

 • 経験の異なる医師を主治医団とすることで、スムーズな診療や教育の実施が可能。

 • 主治医団が同程度のスキルを持った集団となるため、患者間での診療の質が均一化

 • 3名体制のため、年休を取得しやすい

 • ただし、担当患者数の増加及び治療方針の統一(常に主治医団が行動をともにしていない

 ため)に注意が必要。

 

 平日夜間は指導医・専攻医各1名、休日は指導医1名・専攻医2名で救命救急センターでの診療等に対応。

 • 申し送り票で患者情報を共有。

 • 当番制により、平日の年休取得最低月2回の土日連続休暇が可能。

 

〈出番制(外来・検査・オンコールの役割分担)〉

 外来・検査の他に「オンコール」の役割を設定し、日勤帯の診療の円滑化を図る。

 • オンコール担当は、定例のあらかじめ決められた業務を持たず、適宜状況に応じて病棟へ

 の指示や臨時の薬剤処方、患者急変対応や日中の救急患者の対応等を行う。

 • オンコール制の導入によって指示依頼等への迅速な対応が可能となり、ストレスを軽減。

〈年休取得状況の管理〉

 医療クラークが休暇取得予定表や年休消化表を作成し、年休を管理。

 • 予定表の活用により、休暇を取得する医師が重複しないよう管理。

 • 休暇取得実績が少ない医師に対しては月単位で指導

 

その他の取組

〈遠隔読影の活用による在宅勤務導入〉

 放射線科では、夜間休日の緊急対応のための遠隔読影を導入。

 • 遠隔読影システムを発展させ、在宅勤務を導入(子育て中の放射線科医師が週2日在宅勤

 務)。

 

取組の効果

〈時間外勤務の減少〉

 • 消化器内科スタッフのうち、時間外勤務時間が年間960時間以上のスタッフは無し

 (2019年度)。

 

〈初期研修後の入局数の増加〉

 • 初期研修後の消化器内科への新規入局者数は、導入前(2010~2015年) の1名から導入後

 (2016年~2021年)は6名に増加。

 • 初期研修医に消化器内科の印象をヒアリングした結果、「オン・オフのメリハリがあり楽

 しそう」といった意見が増加。

 

今後の展望

〈今後の課題〉

 • 複数主治医制及び休日当番制は、年休取得の促進及び時間外労働の削減に有効な対策であ

 るが、運用にはマンパワーが必要であるため、人員の確保が難しい診療科に同様の取組を展

 開することは難しく、別途対策を講じる必要がある。

 • 医療の質の低下を招かないよう、治療以外での効率化をいかに実現するかが今後の課題と

 認識。

 

〔「勤務環境改善に向けた好事例集(令和4年3月 令和3年度厚生労働省委託事業)」より〕

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