今週のコラム第90号「医師の働き方改革シリーズ第7回『医療機関勤務環境評価センターの評価を受けるときの注意点』」(2023年3月7日号)

B水準やC水準の指定を考えている医療機関では、いよいよ医療機関勤務環境評価センターの受審に向けて、準備作業が大詰めになっているのではないでしょうか。

そこで、今回は、評価センターの評価を受けるときの注意点や評価項目の留意点について、ご説明いたします。

 

1.自己評価シート作成に当たっての注意点

 評価センターの評価を受ける場合には、まず、評価センターホームページから評価受審の申し込みをします。申し込みをしますと、評価センターから医療機関へ基本情報・自己評価シートの作成依頼及び受審料(33万円(税込み))の請求書がメールにて連絡されます。

 基本情報シート・自己評価シートは、医療機関が作成依頼のメールを受信後、30日以内に評価システムに入力を完了する必要がありますので、あらかじめ各シートの入力の準備をしたうえで、評価受審の申し込みをするようにしてください。

 自己評価シートを作成するに当たっては、次の点に注意するようにしてください。(第3回都道府県医療勤務環境改善担当課長会議(令和5年2月10日)での日本医師会からの説明より)

 ○ 初回の評価は書面評価となります。対面とは違い、評価項目ごとの「取組状況」や提出

  資料の説明をその場で聴くことができないため、「取組状況」コメントと資料だけでサー

  ベイヤーが理解できるよう工夫する必要があります。

   解説集の各評価項目の「評価のポイント」に従い、「資料○○で、評価のポイントの○

  ○が書かれている」「資料△△を見れば、評価のポイント記載の△△がわかる」などと

  「取組状況」にコメントを記載したり、場合によっては、「取組状況」コメント自体を資

  料として添付するなどしてください。

 ○ 根拠資料には、評価項目が求めている「該当箇所」をサーベイヤーが確認できるよう、

  下線や印を付すなどの配慮をするとよいでしょう。

 ○ 解説集に記載されている「確認資料例」は、あくまで参考として「例示」されたもので

  す。資料名にとらわれず、評価項目ごとの「評価のポイント」で求めている事項を満たす

  資料だけを提出するようにしてください。「確認資料例」に記載されている資料をすべて

  準備する必要はありません。

 ○ 必須以外で未取組の評価項目については、自己評価を「未達成」としたうえで「資料な

  し」欄にチェックを入れるようにしてください。

   申請時点で必須以外の評価項目が未取組であっても、具体的な実施時期を定め、取り組

  むことを医師労働時間短縮計画に記載する必要があります。そうでないと、評価保留とな

  ってしまいますので、特に注意してください。

 ○ 具体的な取組が進んでいないにも関わらず、自己評価を「達成している」とし、関連の

  ない資料が添付されると、評価手続が困難になりますので、ご注意ください。

 

2.評価項目と評価基準

 新規指定の場合の評価項目は、76項目であり、そのうち18項目が必須項目、58項目が必須以外の項目となっています。必須項目は、次の表のとおりですが、労働関係法令及び医療法に規定された事項で、未達成の場合には、評価保留となりますので、評価時点で必ず達成するようにしてください。

 なお、必須以外の項目が未達成の場合は、具体的な実施時期を定め、取り組むことを医師労働時間短縮計画に記載しませんと、やはり評価保留となりますので、ご注意ください。

【留意点】

評価項目4「追加的健康確保措置の体制を整備するために、勤務間インターバルと代償休息に関するルールをいずれも定めている」

 ○ 評価申請時において規程等の改正が完了していない場合には、法施行に向けた具体的な

  規程案と改正予定(スケジュール等)がわかる資料を提出すればよいとされています。

 

評価項目6「就業規則、賃金規程を作成し、定期的に見直しを行い、変更を行った際には周知されている」

 ○ 賃金、休暇、育児・介護休業、裁量労働制等の定めがなされている規程について、改定

  履歴(年月日)や新旧対照表など変更履歴がわかる資料を含め、確認されることになって

  います。特に、最近改正が行われた育児・介護休業が反映されていることをご確認くださ

  い。

 

評価項目9「常勤・非常勤医師に対し、雇用契約を医師個人と締結し、雇用契約書又は労働条件通知書を書面で交付している」

 ○ 常勤医師に対しても非常勤医師と同様に雇用契約書(又は労働条件通知書)を交付する

  か、又は常勤医師に交付している辞令に記載していない労働条件について明示した書面を

  別途作成して交付する必要があります。

   いずれにしても、労働基準法において明示すべきとされている労働条件がすべて記載さ

  れていることが必要です。

 

評価項目11「宿日直許可の有無による労働時間の取扱い(「宿日直許可のある宿直・日直」と「宿日直許可のない宿直・日直」)を区別して管理している」

 ○ 確認資料例とされている勤怠管理表、勤怠管理システムの記録は、個人別に各月の勤怠

  情報が把握できる書類(データ)が想定されており、特に様式や項目に決まりはありませ

  んが、概ね次の情報が計上されているものが望ましいとされています。

  ・ 出勤日、休日、欠勤日、宿日直日、及びそれらの各日数

  ・ 出勤・退勤時刻、始業・就業時刻

  ・ 労働時間数、時間外・休日労働時間数(合計80時間及び155時間の確認を含む)、深

   夜労働時間数、在院中の労働ではない時間数(自己研鑽)、副業・兼業の時間数、勤務

   間インターバル・代償休息時間数

  ・遅刻・早退等時間数・回数

  ・年次有給休暇の付与日数・消化日数・残日数等

   なお、勤怠管理表等は上記項目のすべてを網羅してあることが必須条件ではありませ

  ん。いくつかの管理表に分かれて上記項目が別管理されていても、全体として勤怠状況等

  を適正に把握できるものであればよいとされています。

 

評価項目12「36協定では実態に即した時間外・休日労働時間数を締結し、届け出ている」

 ○ 前年度の時間外・休日労働時間の実態を踏まえて、36協定の時間数を最長の者1名を基

  礎に定めたのであれば、当該1名分の実績資料で構いません。また、複数名の実績を集計

  した結果等をもとに定めたのであれば、その集計資料等でも結構です。なお、例えば診療

  科ごとの実績を基礎に異なる協定時間数を定めた場合などは、異なる時間数ごとの実績資

  料等をご準備ください。

 

評価項目14「36協定の締結当事者となる過半数代表者が適切な選出プロセスを経て選出されている」

 ○ 代表者は必ずしも医師である必要はなく、全職員の過半数代表者であればよいですが、

  適正なプロセスで選出されているかに着目して評価されますので、36協定の過半数代表者

  となることを明示して選出されたかなど、裏付け資料となる「36協定に係る選出方法や結

  果等の記録」類をご用意ください。

 

評価項目16「医師を含む関係者が参加する合議体で議論を行い、医師労働時間短縮計画を作成している」

 ○ 既存の衛生委員会の活用でもよいとされています。

 

評価項目20「評価を受ける医療機関における労働(滞在)時間を把握する仕組みがある」

 ○ タイムカード等客観的な記録が望ましいが、自己申告による記録でもよいとされていま

  す。ただし、自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか確認、

  補正できる措置が必要とされています。

 

評価項目25「勤務間インターバルの確保ができず、代償休息の付与の対象となる医師及び時間数を少なくとも月1回は把握する仕組みがある」

 ○ 新たな勤怠管理システムの導入を進め、2024年4月の法施行の時点で少なくとも月1回、

  代償休息の対象となる医師及び時間数を把握することができていれば問題ありません。評

  価受審の際は、現在、導入を進めている勤怠管理システムを使用してどのように代償休息

  の対象となる医師及び時間数を把握するかを示した院内のルール・マニュアル等の案を作

  成して提出してください。

   ただし、新たな勤怠管理システムの導入が未定又は検討中の場合は、現在の労務管理体

  制で2024年4月から少なくとも月1回、代償休息の対象となる医師及び時間数を把握するた

  めのルールやマニュアル等の案を作成することが必要です。

 

評価項目35「月の時間外・休日労働が100時間以上になる面接指導対象医師を月単位で把握する仕組みがある」

 ○ 現在、衛生委員会などで報告されている長時間労働医師のリストに加えて、面接指導の

  対象となる医師を把握してから実際に面接指導に結びつけていくためのマニュアル等を整

  えることが必要です。

 

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