今週のコラム第88号「医師の働き方改革シリーズ第5回『長時間労働医師に対する面接指導』」(2023年2月14日号)

2024年4月から医師に限り、月100時間以上の時間外・休日労働が例外的に認められますが、その場合の条件として、長時間労働医師に対する面接指導が義務付けられます。これは、A水準が適用される医療機関も同じです。

今回は、長時間労働医師に対する面接指導について、ご説明します。

 

1.面接指導の概要

 医療機関の管理者は、1か月の時間外・休日労働が100時間以上となることが見込まれる医師に対し、面接指導実施医師による面接指導を実施しなければなりません(2024年4月以降)。その結果、必要と認める場合には遅滞なく労働時間の短縮、宿直の回数の減少その他の適切な措置を実施しなければなりません。

 なお、1か月の時間外・休日労働が155時間を超える場合には、遅滞なく労働時間短縮のために必要な措置を講じなければなりません。

 

〈実施時期〉

 ① A水準が適用される医師の場合

  時間外・休日労働が100時間以上となる頻度が低い医師であれば、当該月の時間外・休日

 労働が80時間を超えた後、睡眠及び疲労の状況を確認し、一定の疲労の蓄積が予想される場

 合(注)に、当該月の時間外・休日労働が100時間に到達する前に面接指導を実施しなけれ

 ばなりません。疲労の蓄積が認められなければ、100時間以上となった後、遅滞なく面接指

 導を実施してもかまいません。

  (注)一定の疲労蓄積が予想される場合とは、次のいずれかに該当した場合です。

    ⅰ前月の時間外・休日労働数:100時間以上 

    ⅱ直近2週間の1日平均睡眠時間:6時間未満 

    ⅲ疲労蓄積度チェック:自覚症状がⅣ又は負担度の点数が4以上 

    ⅳ面接指導の希望:有

  時間外・休日労働が100時間以上となる頻度が低くない医師の場合、ある程度の疲労蓄積

 が想定される時期(当該月の時間外・休日労働が80時間前後となる時期が望ましい)に、

 睡眠及び疲労の状況を確認する必要があり、面接指導は、当該月の時間外・休日労働が100

 時間に到達する前に実施しなければなりません。

 

 ② B・連携B・C水準が適用される医師の場合

  時間外・休日労働が100時間以上となる頻度が高くない医師の場合、ある程度の疲労蓄積

 が想定される時期(当該月の時間外・休日労働が80時間前後となる時期が望ましい)に、

 睡眠及び疲労の状況を確認する必要があり、面接指導は、当該月の時間外・休日労働が100

 時間に到達する前に実施しなければなりません。

  時間外・休日労働が100時間以上となる頻度が高い医師の場合、毎月あらかじめ決めてお

 いた時期に、睡眠及び疲労の状況を確認することも可能ですが、面接指導は、必ず当該月の

 時間外・休日労働が100時間に到達する前に実施しなければなりません。

 

〈面接指導実施医師とは〉

 面接指導実施医師となるためには、次の2つの要件を満たす必要があります。 

 ・ 面接指導対象医師が勤務する医療機関の管理者でないこと 

 ・ 医師の健康管理を行うのに必要な知識を修得させるための講義(面接指導実施医師養成

  講習会(オンライン))を修了していること

 このため、産業医ではなくとも、上記2つの要件を満たさす場合は、面接指導実施医師とし

て面接指導を実施することができます。また、産業医であっても、上記2つの要件を満たさな

ければ、面接指導実施医師として面接指導を実施することはできません。

 各医療機関で必要と考えられる⾯接指導実施医師を確保いただく必要があります。なお、実

際に確保が必要となる⾯接指導実施医師について、例えば医師の働き⽅改⾰の推進に関する検

討会中間とりまとめでは、⾯接指導対象医師1人あたり10〜40分程度を要するものと仮定して

推計しています。医療機関で⾒込まれる⾯接指導対象医師数を踏まえて、必要な⾯接指導実施

医師を確保してください。

 ⾯接指導実施医師は、⾃⾝が所属する医療機関以外の⾯接指導対象医師に対して、⾯接指導

を⾏うことも可能です。

 

2.面接指導から就業上の措置までの実施方法

 STEP1  睡眠及び疲労の状況の確認

 当該月に100時間以上の時間外・休日労働が見込まれる医師抽出し、時間外・休日労働

が月100時間以上となる前に、睡眠及び疲労の状況等、次の事項について確認を行います。

(面接指導の実施時期については、既述のとおりです。)

<確認事項>

ア  前月の時間外・休日労働時間(副業・兼業先も自己申告により通算する。)

イ  直近2週間の1日平均睡眠時間(可能であればアクチグラフ等の客観的指標を用い

 る。)

ウ 「労働者の疲労蓄積度の自己診断チェックリスト」

エ 面接指導の希望

 ※ 可能であれば、面接指導対象医師と同じ病棟や診療科で勤務する看護師長や上級

 医から、長時間労働の負担による影響の有無等についても確認しておくことが望まれ

 ます。

 

 STEP2 面接指導

 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)に基づく長時間労働者に対する面接指導において

確認を行う事項(勤務の状況、疲労の蓄積の状況、心身の状況)に加え、睡眠負債の状況を

確認します。

 また、医師についてはバーンアウト(燃え尽き)のリスクが高いことを踏まえ、ワークエ

ンゲイジメント(熱意・没頭・活力)とバーンアウト(燃え尽き)の相違も念頭に置きつ

つ、評価を行います。

 <確認事項>

   ア  勤務の状況

   イ 睡眠負債の状況

   ウ 疲労の蓄積の状況

エ 心身の状況(うつ症状や心血管疾患のリスク等)

 必要に応じて睡眠や休息等に関する助言や保健指導を行います。

 

 STEP3 報告書・意見書の作成

 面接指導に基づき、本人への指導区分及び就業区分を判定し、報告書及び意見書を作成の

上、管理者に報告します。報告書・意見書の作成に当たっては、必要に応じて、産業医、院

内の専門科又は専門医療機関と連携することが望まれます。

 <本人への指導区分>複数回答可

  0.措置不要 1.要保健指導 2.現病治療継続 又は医療機関紹介

 <就業区分>

   0.通常勤務  1.就業制限・配慮  2.要休業

 

 STEP4 就業上の措置

 面接指導実施医師からの報告及び意見を踏まえ、必要に応じて、就業上の措置を講じま

す。

 ※ なお、疲労回復に効果的な休息の付与方法、睡眠及び疲労の状況について確認する事

  項を含めた効果的な面接指導の実施方法等の詳細については、「医師の働き方改革の推

  進に関する検討会中間とりまとめ(令和2年12月22日)」別添1「長時間労働の医師へ

  の健康確保措置に関するマニュアル」をご参照ください。

長時間労働医師面接システム「面接おまかせくん®」は、面接指導実施医師と面接指導対象医師の日程調整を手軽に行うことができ、外部の医師による面接指導を安心して受けることができる画期的なシステムです。ぜひこのシステムをご活用いただき、医師の健康確保に万全を期していただければと思います。

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