今週のコラム第84号「医師の働き方改革シリーズ第1回『2024年4月に向けて医療機関が取り組むこと』」(2023年1月10日号)

医師の時間外労働規制が始まる2024年4月まで、残すところあと1年余りとなりましたが、皆様の医療機関では、順調に準備が進められていますでしょうか。

今回は、2024年4月に向けて医療機関が取り組むことをあらためて整理してお伝えし、それぞれの医療機関での取組状況を確認してみていただきたいと思います。

 

1.医療機関において医師の勤務実態を把握します。

 医師の働き方改革を進めるうえで、まずは自院の医師の労働時間の把握をすることがすべての第一歩となります。

 医療機関においては、医師の労働時間の把握が行われていない場合が多いため、まず、出勤時間と退勤時間から労働(滞在)時間を把握することが必要です。その場合、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認することが望ましいですが、日をまたぐ勤務を多く、正確なデータの収集が困難な場合もあるため、少なくとも医師が労働(滞在)時間を正しく申告する体制は整備しましょう。

 ただし、自己申告による記録については、実態との乖離がないことが重要であり、自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか確認、補正できる措置が必要とされています(「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」)。

 

(副業・兼業について)

 医師の勤務実態を把握するに当たっては、副業・兼業先の労働時間も通算する必要があるので、自己申告等で把握できる体制を整備しましょう。

 医師の多くは、複数の医療機関に勤務されていると思われますが、副業・兼業を行う医師を使用するすべての医療機関は、労働基準法第 38 条第1項の規定により、それぞれ、自らの医療機関に おける労働時間と他の医療機関における労働時間とを通算して管 理する必要があるとされています。

 労働基準法38 条第1項では「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時

 間に関する規定の適用については通算する。」と規定されており、「事業場 を異にする場

 合」とは事業主を異にする場合をも含む(労働基準局長通達(昭和 23 年5月 14 日付け基発

 第 769 号))とされている。

  なお、医師からの申告等がなかった場合には労働時間の通算は要せず、また、医師からの申

告等により把握した他の医療機関における労働時間が事実と異なっていた場合でも医師からの

申告等により把握した労働時間によって通算していれば足りるとされています。(医師の働き

方改革に関する FAQ((2022 年 11 月 29 日 ver.))

 

(宿日直許可の取得について)

 管轄の労働基準監督署から宿日直許可を取得していれば、その時間は通常の労働時間から除くことができますので、まずは、自院の宿日直許可の有無を確認し、必要な場合には、許可を申請しましょう。この点については、あらためて詳しくご説明しますが、過去において許可を取得していたとしても、相当の期間が経過している場合には、許可を取り直していただいた方がよいと思います。

 また、副業・兼業先の宿日直許可の有無も自己申告等で把握できる体制を整備しましょう。

 

(自己研鑽の取扱いについて)

 所定労働時間内に行われる自己研鑽はすべて労働時間に該当しますが、問題は、終業時刻のあと、院内に残って、診療ガイドライン等の勉強、勉強会の準備、論文執筆、上司等の診療や手術の見学・手伝い等を行った場合に、労働時間に該当するかどうかです。

 自己研鑽が労働時間に該当するかどうかについては、「使用者の指揮命令下に置かれているかどうか」により判断することになりますが、個々の医師が行う自己研鑽が労働であるか否かについては、当該医師の経験、業務、当該医療機関が当該医師に求める医療提供の水準等を踏まえて、現場における判断としては、当該医師の上司がどの範囲を現在の業務上必須と考え指示を行うかによらざるを得ないとされています。

 いずれにしても、それぞれの医療機関において、よく話し合いを重ねて、自己研鑽の取扱いを明確化・ルール化しましょう。

 

2.目指す水準を設定し、必要な準備、取組を進めます。

 医師の時間外労働規制に関する制度の趣旨に合った形で、それぞれの医療機関の実態に応じた水準を選択するようにしましょう。

 2024年4月以降はA水準を目指す医療機関において、それより前に年間の時間外・休日労働時間が960時間を超える医師がいる場合には、2023年度末までの医師労働時間短縮計画の作成に努め、計画的に労働時間の短縮を進めましょう。

 2024年4月以降はB・連携B・C1・C2水準を目指す医療機関は、2024年度以降の医師労働時間短縮計画を作成し、医療機関勤務環境評価センターの評価を受け、都道府県知事の指定を受けますが、この点については、次回、詳しくご説明します。

 いずれにしても、今後の取組に当たっては、変形労働時間制の活用等、それぞれの医療機関の実態に応じた労働時間制の適用等も重要な要素になります。

 

3.追加的健康確保措置の実施に向けた体制づくりを進めます。

 2024年4月以降、適用される水準にかかわらず、時間外・休日労働時間が月100時間以上となる見込みの医師に対しては、特定の講習を修了した医師による面接指導を実施しなければならなくなりますので、そのための体制を整備する必要があります。

 また、勤務間インターバルの確保が、BC水準の場合は”義務”、A水準の場合は”努力義務”になりますので、勤務間インターバルの把握及び確保ができるようにしておかなければなりません。

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