今週のコラム第77号「医師事務作業補助者の業務活用」
(2022年11月1日号)

いきいき働く医療機関サポートWeb(通称「いきサポ」)で紹介されている取組事例をご紹介します。

今回は、「医師事務作業補助者の業務活用福山医療センター武蔵村山病院広島県福山市沖野上町4丁目14番17号、急性期機能】です。

 

取り組んだ内容

ドクター・アシスタント(医師事務作業補助者)を配置することにした。

 

取組のきっかけ、背景、取組前の問題点

 広島市に次いで人口の多い福山市にある本病院でも地方都市の特徴ともいえる勤務医の不足がみられる。また、岡山県との県境に位置することもあり、医療過疎化が深刻な周辺市町から重症患者が流入し、勤務医は慢性的な過重労働となっている。


 福山医療センターでは、ドクター・アシスタント(医師事務作業補助者)を平成20年から導入した。統括診療部に医師業務支援部を設立し、看護部でも事務部でもないドクター・アシスタントの部署を位置づけている。導入時の平成20年7月には100:1であったが、平成26年4月には15:1と、現在38名のドクター・アシスタントが在籍している。


 ドクター・アシスタントは医師の数にあわせて各科に固定配置してきたが、各科により業務内容がまったく異なる業務であり、急な休みへの対応や勤務者数が少ない日は業務に支障が出ることもあった。


 業務への支障をなくすため、ドクター・アシスタントのローテーションを試みたが、一部の医師からの反対やドクター・アシスタントからも慣れ親しんだ部署を離れる不安の声もあり、ローテーションは中止となった。そこで、昨年からサブグループを編成し、ドクター・アシスタントを配置することにした。


 サブグループとは、内科と内視鏡センター、産科・婦人科と小児科・小児外科など、関連する科をグループとしてまとめたものである。各サブグループにドクター・アシスタントを配置し、各サブグループのリーダーがサブグループ内のローテーションを踏まえた勤務表を作成している。


 ドクター・アシスタントに対する初期研修は院内で実施し、10日間45時間のプログラムを組んでいる。各研修はあらゆる部署が担当し、病院全体でドクター・アシスタントを育成する体制となっている。


 ドクター・アシスタントの業務内容は、電子カルテへの代行入力、処方箋の代行入力、退院時のサマリー作成等のほか、勉強会等を開催したり、院内の各種委員会へも出席するなどの活動を行っている。


 〇 内科外来(外来診察室9室、外来1日平均患者数約180人、内科病棟ベッド数114床)

   配置当初は、ドクター・アシスタントの業務内容が明確になっていないことやドクタ

  ー・アシスタントの医学的知識不足等の問題が挙がった。ドクター・アシスタントの採用

  は資格を問わないため、医療分野以外からがほとんどである。

   そこで、外来業務・代行業務の統一、ミスの軽減、知識向上をめざし、内科担当リーダ

  ーがマニュアルを作成した。習得に半年から1年を要するものの、できる業務を医師に提

  案するなど、業務範囲を拡げてきている。


 〇 整形外科病棟(外来診察室3室、外来1日平均患者数約120人、整形外科病棟ベッド数

  54床)

   入院から退院後の退院時サマリー作成までの一連の業務がシステム化されている。例え

  ば、リハビリ転院があった場合にも転院パスの入力で地域医療連携室が介入し、必要書類

  が準備される。ドクター・アシスタント導入効果が一番得られた部署である。

 

取組対象

  • 取組対象
    医師,コメディカル,看護職
  • 取組の中心部署・人物
    医師業務支援部長、事務部長
  • 取組詳細
    ・医師、看護師、看護補助者、事務員の業務見直しをおこない、その中で医師事務作業補助者が担当する役割を明確にした。
    ・業務遂行や医療上の知識取得のため多職種コメディカルの協力をあおぎ支援、教育をお願いし、病院全体として取り組む体制を整えた。
    ・業務を行う場所を確保するため、外来棟に新たにドクターアシスタントの専用PCを配置した作業室を設置し、環境整備をおこなった。
    ・各科で作業内容や強度が異なるため、人員配置を工夫、ローテーションや勤務時間シフトによる業務体制の見直しを行った。
    ・診療における問題点や課題、不安などを気軽に相談できるよう、カンファレスやミーティングを定期的に開催し、早期解決を心掛けている。

 

これまでの取組成果に対する院内の声・反応

 内科では外来診察時間が、呼吸器内科では45分、循環器内科では50分、肝臓内科では80分の短縮ができた。患者1人当たりの外来診察時間も最大2.6分短縮することができている。また、診察開始までの待ち時間が短縮され、患者の負担軽減にもつながった。

 

 整形外科病棟では、手術件数がほぼ倍増し、医師の勤務時間が1日約2時間短縮することができた。退院サマリーの2週間以内の作成率も20%から99%にアップするなど、大きな成果が得られた。

 

今後の課題等について

 今後は、各科の特徴を習熟し、平均したスキルを求めるなら、より長い時間をかけたローテーションが必要だと考えている。当初、ローテーションに対して不安をもっていたドクター・アシスタントからは、サブグループにしたことで、新しいスタッフに出会えたことや新しい知識を得られたことで、自身の業務等の理解を深めることができた等、前向きな意見も聞かれている。

 

 また、国立病院機構であることから常勤採用ができないため、全員非常勤となっている。ドクター・アシスタント・リーダーが他病院から引き抜かれることがあるが、病院としては大きな痛手である。ドクター・アシスタントのモチベーションを保つためにも、医師・患者を守るためにも常勤は必須と考えられることから、要望書等は出しているが今後の改善を期待する。

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