今週のコラム第75号「地域医療支援病院における内科体制の構築ー総合内科と専門内科の一本化で医療の質を向上ー」
(2022年10月11日号)

いきいき働く医療機関サポートWeb(通称「いきサポ」)で紹介されている取組事例をご紹介します。

今回は、「地域医療支援病院における内科体制の構築ー総合内科と専門内科の一本化で医療の質を向上ーさいたま市民医療センター埼玉県さいたま市西区島根299-1、急性期機能】です。

 

取り組んだ内容

MACTの取組。

女性医師に適した体制の構築。

 

取組のきっかけ、背景、取組前の問題点

 地域医療問題は、今後高齢者が増える大都市に表れてくるのではないかという問題意識をもっていた。高齢化が進む地域の救急や内科は地域医療崩壊が生じやすく、当該医師はワークライフバランスを実現しにくい環境にある。そこで、本センターはあえて細分化せず、救急総合診療と専門診療を融合させ、内科を統括した組織を設立時から構築し、疲弊させない魅力ある内科づくりに取り組んだ。

 

取組対象

  • 取組対象
    医師
  • 取組の中心部署・人物
    診療部内科 副院長兼内科統括部長 石田岳史
  • 取組詳細
    内科担当副院長を筆頭に、縦糸となる各専門科、横糸となる救急総合診療科で構成し、各科長は総合内科勤務勤務経験者を配置した。カギとなったのは救急総合診療科で、医療レベルの低いものから中程度の患者8割を診ることができ、マルチタスクかつワークシェアリングの文化が浸透した。内科担当副院長が医師の業務量や研修医の患者数をコントロールし、「内科のあるべき姿」を日頃から提唱してきた。救急車搬送数は増えた一方でウォークインは減るというあるべき二次病院の姿が総合内科体制によって実現できている。大事にしているのは、IPW(interprofessional work)というチーム医療の概念であり、Transdisciplinary team approachという患者中心のチームアプローチである。毎日開催するカンファレンスには、内科全科が参加することで、チームインテリジェンスを向上させている。

 

実施後の成果

・現場での事故原因として、アラーム疲労が報道されていた。IPWの実践として、チームで取り組む心電図モニターの安全管理を行った。内科担当副院長をリーダーとしたMonitor Alarm Control Team(MACT)を発足。主治医の心電図モニター離脱指示がないことや看護師の不安感による心電図モニター装着、さらに厳しく設定していたことで、使用台数は増え、アラーム総数は1日2,000件になっていた。心電図モニターの電極を正しく貼ること、看護師による波形感度×1で使える誘導選択、心電図モニターの中止基準を設けるなどの心電図モニターに対する意識の向上やスキルアップなどに取り組んだ。さらに、アラームに対する迅速な対応が可能となるマルチスレーブモニターを複数配置し、1ヶ月のアラーム数が200件を切るなど、平均アラーム数を激減させることができた。

・内科医24人のうち、女性医師は5人。そのうち、週4日勤務で当直ができない医師は4名である。「お互い様」の精神や「支援力」を高め、ライフステージに合わせた勤務体系の提案をしている。

 

これまでの取組成果に対する院内の声・反応

 病棟スタッフ(特に若手医師と看護師)は、勤務時間が長いだけでなく、病棟での急変、医療事故と隣り合わせの急性期医療に強いストレスを感じていた。しかしMACT(monitor alarm control team)を作ってチームでアラーム事故を予防する取り組みをすることにより、責任の所在が「現場」から「病院組織」にかわり、現場に責任を押しつけない文化を作ることができた。また、医療者はプロフェッショナリズムを重視する。業務が多忙でも、それが医学や医療安全にとって大切なことであり、全国的にも最先端の取り組みをしている自負があれば、仕事満足度が高まり、疲労も軽減されるとの意見が聞かれる。

 さらに、女性医師が働きやすい環境を用意し、女性医師を活用することで、男性医師も働きやすい環境が構築された。特に、救急総合診療科は「燃え尽き症候群」が惹起されやすい。救急は時間を区切って働きやすい現場であるので、短時間勤務の女性医師に救急やルーチン検査である胃カメラ・大腸ファイバーなどを担当してもらうことにより、男性医師の仕事量が相対的に減少する。当院は当直手当が高額に設定されているため、当直免除の医師は収入が減少する。結果的に勤務量に比例した収入になるため、不公平感が軽減されている。

 

今後の課題等について

 医師の仕事時間は長いが、充実感のあるチーム活動成果を「見える化」させることで、仕事満足度を高めることができる。仕事満足度が高いほどワークライフバランスも良い。専門職は、「ワーク」の充実があって「ライフ」が充実することは、「ライフ」の充実がないと医師のスキルは十分に発揮されない。バランスがとれている医師はまだまだ少数であるが、ワークライフバランスという概念を職場で話せる環境づくりが重要だと考える。今後も、「総合医マインド」をもった臓器別専門医が集合し、幅広く、そしてチーム力で深く実践する医療という理想を目指し、WLBを支えるチーム力を推進していきたい。

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