今週のコラム第62号「1か月単位の変形労働時間制による時間外労働削減の取組」(2022年6月14日号)

いきいき働く医療機関サポートWeb(通称「いきサポ」)で紹介されている取組事例をご紹介します。今回は、「1か月単位の変形労働時間制による時間外労働削減の取組【関東労災病院、神奈川県、急性期機能】」です。

 

取り組んだ内容

・1ヶ月単位の変形労働時間制の導入

・研修医に時間外労働をさせる場合は科長に命令時間を

 明示させた。

・研修医が命令時間外に院内に残る場合は自己申告制とした。

 

取組のきっかけ、背景、取組前の問題点

• 当院では日当直業務を重要な研修要素と捉え、初期研修医が2名ずつ日当直業務にあたってい

 る。一月当たり4~5回。

• しかし、日当直業務を担うことで初期研修医の総労働時間は非常に長くなる。当直業務は17

 時から翌朝9時までの16時間拘束。均等分担で当直3回、日直1回。平日日中の通常業務と合

 計すると月の労働時間は216時間(休憩、休養を除く)。これに早朝・夕方の回診やカンフ

 ァランス、手術延長などが加わる。

• 取組前は日当直業務は時間外業務として位置付けられており、日当直だけでも平均56時間の

 時間外業務に従事。36協定に定めた通常の月の上限を超過していた。

• 医師の働き方改革緊急対策には「労働時間管理の適正化」が盛り込まれており、早急な対策

 を行う必要があるが、まずは自由に動きやすい研修医から取り組むことを決めた。

 

取組対象

  • 取組対象
    医師
  • 取組の中心部署・人物
    臨床研修管理室
  • 取組詳細

    • 全医師に対する網羅的な適正化は容易ではないため、まずは技術的に可能な初期研修医に対象を限定した。上級医を中心とした院内関係者に本来あるべき労務の取り扱い方を実務を通じて親しんでいただくことが今後の病院全体の対策の方向性を定めるための最良の方策と考えた。
    • 日勤・夜勤の2交代制とし、当直を夜勤とした。
    → 日当直業務を適法に命令する体制を確立。
    • 日勤シフトはローテーション研修科の業務実態に合わせて、勤務開始・終了時刻を1週間単位で設定し、合計で週40時間となるようにした。
    • 従来の勤務実態とほぼ同様の運用を実現するために、平日の夜勤シフト日の日中、また休日日勤の振替休日は時間外命令として原則的に出勤するようにした。(この分については自動的に時間外勤務が発生する。1回につき8時間。)
    → 研修時間が減ることによる研修の質の低下を防ぐ。
    • 早出、残業などの時間外労働については科長が責任を持って命令時間を明示するようにお願いし、目標とする時間外上限(36協定)を守っていただくことにした。上限は科の特性によるが、可能な科では45時間、長くても80時間を上限としてコントロールをお願いした。
    • 命令時間外に研修医が院内に居残ることを希望する場合は、研修医側が命令ではなく自発的な居残りであることを確認、記録して許可することとした。

 

実施後の成果

• 日当直業務を含む初期研修医の所定労働時間は各科で特に時間外業務を命じない限り月45時

 間以内と適法な範囲に収まった。

• 1か月単位の変形労働時間制を使用して各科の勤務実態に合わせた日勤シフトを組むことによ

 り、早朝のカンファランスや手術日の日常的な業務延長の一部を所定労働時間内に収めるこ

 とができた。
• 労働時間外に研修医が自主的に病院内に居残る仕組みも構築できた。

• 日当直業務の管理体制が明確になり、体制変更等がスムーズに行えるようになった。

 

これまでの取組成果に対する院内の声・反応

● 研修管理者の声
 指導医が毎日の勤務時間を明示することが必要だが、これまでの医師の労働慣習と異なることもあり、まだ適切な運用が全ての科ではなされていない。指導医の理解を得ることが最重要課題。


● 研修医の声

 勤務時間終了後の居残りや院外勉強会等を強制されることはない。また強制的に帰宅させられることもなく、そのまま現場に残って見学、また研修医室での自主学習も可能。

 

今後の課題等について

 初期研修医への新たな労務管理の導入を経験し、具体策の検討や関係部署との折衝、広報、契約などに年単位の作業が必要であることがわかった。

 上級医を中心とした院内関係者に本来あるべき労務の取り扱い方を実務を通じて親しんでいただくことが今後の病院全体の対策の方向性を定めるための最良の方策であろうと考えている。

 

★今週のコラムは、いかがでしたか。下記よりメールアドレスを登録していただくと、

 更新時にご案内をお届けします。(解除は、いつでも可能です。)ぜひご登録ください。

無料相談・お問合せはこちら

お問合せ・ご相談は、お電話またはフォームにて受け付けております。

メールでのお問合せは24時間受け付けておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。

(個人の方からのお問い合わせ、および営業の電話・メールは、固くお断りいたします。)

無理な営業活動はいたしませんので、ご安心ください。

受付時間:9:00~18:00
定休日:土曜日・日曜日・祝祭日

お電話でのお問合せはこちら

048-626-3101

インフォメーション

お問合せ・ご相談
048-626-3101

お問合せはお電話・メールで受け付けています。
メールでのお問合せは24時間受け付けております。
無理な営業はいたしませんので、ご安心ください。

受付時間/定休日
受付時間

9:00~18:00

定休日

土曜日・日曜日・祝祭日

アクセス

〒330-0061
埼玉県さいたま市浦和区常盤3-14-19常盤壱番館204号室