令和6年4月から始まる医師の時間外労働規制について、特例水準の適用を受けるためには医療機関勤務環境評価センターの評価を受けなければなりませんが、そのセンターとして、日本医師会が令和4年4月1日付けで、正式に指定されました。

今回は、併せて公表された評価ガイドラインの概要等について、ご紹介します。

今後、医療機関勤務環境評価センターによる評価においては、医師労働時間短縮計画の記載事項等を参考に、次のような視点で、各項目について定量的な評価とともに、定性的な所見（〇〇〇の状況 の中で、○○に関するタスク・シフト／シェアが進んでいないと考えられる、等）を評価結果として付されることになります。

１　ストラクチャー

（１）評価内容

　　　医師の労働時間短縮に向けた労務 管理体制の構築

（２）評価の視点

　　【医師の労働時間短縮に求められる基本的労務管理体制】

　　　• 適切な労務管理体制の構築

　　　• 人事・労務管理の仕組みと各種規程の整備・届出・周知

　　　• 適切な36協定の締結・届出 • 医師労働時間短縮計画の作成と周知

　　【医師の勤務環境の適切な把握と管理に求められる労務管理体制】

　　　• 医師の労務管理における適切な労働時間の把握・管理体制

　　　• 医師の面接指導及び就業上の措置の実施体制

　　　• 月の時間外・休日労働が155時間を超えた場合の措置の実施体制

　　【産業保健の仕組みと活用】

　　　• 衛生委員会の状況

　　　• 健康診断の実施状況

２　プロセス

（１）評価内容

　　　医師の労働時間短縮に向けた取組

（２）評価の視点

　　【医師の労働時間短縮に向けた取組の実施】

　　　• 医師の適切な勤務計画の作成

　　　• 医師の労働時間短縮に向けた研修・周知の実施（管理職マネジメント研修の実施等）

　　　• タスク・シフト／シェアの実施（特定行為研修修了看護師の活用等）

　　　• 医師の業務の見直しの実施（複数主治医制やチーム制の導入・実施等）

　　　• 医師の勤務環境改善への取組の実施（院内保育や他の保育支援等の整備状況等）

　　　• 患者・地域への周知・理解促進への取組の実施

３　アウトカム

（１）評価内容

　　　労務管理体制の構築と労働時間 短縮の取組実施後の評価

（２）評価の視点

　　【労務管理体制の構築と労働時間短縮に向けた取組実施後の結果の把握】

　　　• 医療機関全体の状況（時間外・休日労働時間数、追加的健康確保措置の実施状況等）

　　　• 医師の状況（職員満足度調査・意見収集の実施）

　　　• 患者の状況（患者満足度調査・意見収集の実施） 

４　参考

　【医療機関の医療提供体制】

　　　診療科ごとの医師数、病床数、看護師数、医師事務作業補助者数等、労働時間に影響を

　　与える要素として分析を行うことを想定。

　【医療機関の医療アウトプット】

　　　手術件数、患者数、救急車受け入れ台数の他、医療計画や地域医療構想に用いる項目を

　　想定。

病院又は診療所の開設者が医師の時間外労働規制について特例水準（B水準またはC水準）の指定を申請するに当たっ ては、医師の労働時間短縮に関する計画（以下「医師労働時間短縮計画」という。）の 案を都道府県知事に提出することとされています。

医師労働時間短縮計画の作成に当 たって参考となるものとして、「医師労働時間短縮計画作成ガイドライン」が正式に公表されましたので、特例水準の指定を受けようとする医療機関におかれては、御参照ください。 

★今週のコラムは、いかがでしたか。下記よりメールアドレスを登録していただくと、

　更新時にご案内をお届けします。（解除は、いつでも可能です。）ぜひご登録ください。