今週のコラム第32号「働き方改革を売上に結びつけるための人事評価のあり方」(2021年7月13日号)

今回は、働き方改革を病院、クリニック、介護事業所などの経営の安定につなげるために大変重要な要素である、人事評価のあり方について解説します。

 

1.人事評価の目的

 そもそも人事評価の目的は、何でしょうか。

 

 賃金や賞与を決める根拠として、職員の公平性や

納得性を確保するためのものだとする考え方があります。

 しかし、病院、クリニック、介護事業所などの業績が向上しなければ昇給や賞与の支払は困難ですし、賃金・賞与を妥当な水準にするために、人事評価結果を調整すれば、職員のモチベーションを下げることになります。

 また、人事評価結果の低い職員を納得させることは難しく、すべての職員の公平性・納得性を追求して人事制度の本来の目的を達成できないのは本末転倒で、特に人事評価結果の高い職員が不満を持つことは問題です。

 

 人事評価の目的は、人材を育成し、病院、クリニック、介護事業所などの売上を伸ばし、経営を安定させることにあると考えるべきです。病院などもひとつの事業体である以上、存続するためには、売上を伸ばすことが必須です。また、限りある人材を活用するためには、すべての職員が同じ目標に向かって行動することを人事評価の目的に置くべきです。さらに、今後、新規採用がますます困難になるので、現在雇用している職員の離職を防ぎ、そのスキルを向上させることが不可欠です。

 

 この原点に立ち返って、人事評価の運用を考えていきたいと思います。

 

2.売上を伸ばすための人事評価のあり方

① 期中の職員の観察の重点化

 病院などに限らず、多くの職場では、人事評価はうまく運用されていません。それは、いくら立派な人事評価制度を作っても、年度の初めに目標設定をした後、年度中はほとんど人事評価のことは忘れ、年度末になって慌てて過去を振り返って評価点をつけたりするからです。つまり、期末の評価を行うだけでは、査定はできても、人材を育成し、売上を伸ばすことにはつながりません。

 

 職員は、何か月も前のことを指摘されてもピンとこないので、できる限り日々の行動について、漏れなく観察し、迅速に反応(評価)することが大切です。こうすることによって、職員のモチベーションも向上し、すべての職員の行動を病院などがめざす経営目標に向かわせることができるようになります。

 

 具体的には、できれば2週間に一度、図のような職員からの報告フォームによって、部下から上司にその2週間の行動を振り返って報告を行い、10分から20分程度、あまりかしこまらずに面談をすることをお勧めしたいと思います。日頃からコミュニケーションを重ねていけば、人事評価のミスマッチも起こらず、期末の評価は、期中の面談結果を集約して行えばよくなります。

 

② 評価者と被評価者のスキル向上

 人事評価も指導と訓練が必要です。被評価者の目標設定に当たっては、組織全体及び各部署の目標達成に結びつくものとなるように、上司が確認・指導することが重要です。

 

 評価者もいわゆる評価者訓練が必要です。まず、人物を評価するのではなく、行動・事実を評価するようにすること。また、中心化傾向、ハロー効果、期末化傾向、論理誤差などといわれる評価ミスを起こさないようにすること。1次評価者が複数いる場合には、評価者ミーテイングを行い、各職員の評価結果を報告しあうことも有効です。

 

③ 昇給・賞与への反映のしかた

 昇給・賞与は業績向上次第なので、人事評価結果を直接、昇給・賞与へ反映させることはできる限り避けた方がよいと思います。人事評価が高ければ昇給・賞与へ反映することをあまり期待させると、昇給・賞与の支給ができないときに不満が高まります。むしろ、昇給・賞与は業績次第としながら、いざ昇給・賞与の支給をするときは、人事評価の結果を大きく反映させた方が効果的です。

 

 人事評価結果を昇給・賞与へ反映させる方法に、ポイント制というものがあります。

 

 1ポイント当たりの単価は、そのときの昇給・賞与に充てられる原資を、全職員の基本給×ポイント数で割って求めます。そして、各職員の昇給・賞与の額は、基本給×ポイント数となりますが、このポイント数は、人事評価結果により算出するというわけです。

 

 こうすれば、昇給・賞与を得るために、職員の業績向上に対するモチベーションの向上が期待できます。

 

 また、業績の向上がなくても定期昇給せざるを得ないという場合であっても、人事評価結果は必ず反映させるようにしてください。

 

【参考文献】「人事評価で業績を上げる!『A4一枚評価制度』

      (榎本あつし著 株式会社アニモ出版)」

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