今週のコラム第21号「医師の労働時間短縮計画の作り方~医療勤務環境マネジメントシステム~」(2021年4月6日号)

医師の時間外・休日労働時間数が年間960時間を超える病院は、本年10月以降、医師の労働時間短縮計画を作成し、各都道府県に提出することが義務付けられる見込みです。医師の労働時間を短縮するためには、病院全体の組織改革が欠かせず、そのためには3年ぐらいかかると言われていますので、医師の時間外労働規制が始まる2024年4月に間に合わせるには、今すぐにでも取りかかることが必要です。今回は、短縮計画策定ガイドライン(案)で推奨されている「医療勤務環境マネジメントシステム」の内容について見ていきます。

それでは、医師労働時間短縮計画の作り方を、この「医療勤務環境マネジメントシステム」の図をご覧いただきながら、ご説明します。

 

⑴ステップ1:方針表明

 医師労働時間短縮計画の策定に当たっては、医療機関全体の組織的な取組とするために、まず、医療機関のトップが、なぜ取り組む必要があるのかも含めて医師労働時間短縮計画の取組のスタートを宣言することが重要です。

 この宣言については、広く関係者に周知していくとともに、最初の宣言だけでは一過性のものとなり職員への浸透はできないので、トップからの継続した周知が必要となります。

 

⑵ステップ2:体制整備

 医師労働時間短縮計画を推進するチームは、院長等のトップが主導するプロジェクトチーム、既存の委員会等を活用する等、様々な方法が考えられますので、それぞれの医療機関等で実情に応じた形態をとりましょう。

 

 ここで重要な点は、次の2点です。

 

 まず、関連する部門を交えた組織横断的なチーム・メンバー構成にすることです。部門を越えた業務体制の見直し、業務の効率化等を検討できるようにするために、各職種の立場から責任ある発言ができる人をメンバーに入れることも重要です。特に長時間労働になりがちな診療科などは、診療科単位でのチームを作ること等も実効性を高めるうえでは有効です。

 

 次に、トップの積極的な関与です。トップの関与により、組織全体として取り組むという姿勢を示すことができます。また、複数の部門で構成されている場合には部門間の壁が生じる場合があり、こういった場合にもトップの関与が有効です。

 

⑶ステップ3:現状分析

 医師労働時間短縮計画の取組としてまず必要となるのが、現状の把握と分析及び課題の整理です。

 現状を把握する方法としては、定量的なデータへのアプローチと、定性的なデータへのアプローチがあります。具体的には、自医療機関の経営指標や時間外労働時間数等の定量的なデータを把握する方法と、残業理由等の定性的なデータをヒアリング等で集める方法があります。

 データが収集できたら、推進チームにおいて、医師の労働時間短縮に関する課題(問題を解決するために取り組むべきこと)を整理します。

 

⑷ステップ4:目標設定

 自医療機関の目指す姿を確認し、また、ステップ3の現状分析の結果を踏まえ、1か月当たりの平均時間外労働時間数等において一定期間に達成すべき到達点を明確にします。

 設定した目標はチームメンバー内だけで共有するのではなく、何のための目標なのかも併せて自医療機関全体で共有する必要があります。ステップ1と同様にトップから職員に対して自医療機関の目指す姿と併せて発信しましょう。

 

⑸ステップ5:計画の策定

 ステップ4で設定した目標に対して、「誰が」「いつまでに」「何を」実施していくのか、具体的な対策とスケジュール(アクションプラン)を作成し、職員に周知します。

 新しい取組を現場へ導入する際に発生する問題は、極力計画段階から取り除いていくことが望まれます。そのためには、計画段階から該当する現場の方々ともコミュニケーションを図り、建設的な意見を出し合うことを通して、どのように実施項目を導入・展開するかを決定していきます。

 職員の協力や理解を得るためにも、策定した計画を職員に周知・浸透させることが非常に重要になります。今までのステップの内容も踏まえ、トップから継続的に「なぜ取り組むのか、何をどのように取り組むのか」といった点を発信するようにしましょう。

 

⑹ステップ6:取組の実施

 実際に取組を進めていく際には、予期しなかった様々な問題が生じることが考えられますが、できる限り早めに、かつ柔軟な対応をしていきましょう。取組の内容によっては、実施しやすい一部の職場単位で試行的に実施し、その効果を検証したり支障が生じないことを確認したりしたうえで、本格実施することも一つの方法です。

 

⑺ステップ7:評価・改善

 目標設定の際に設定した具体的な数値目標の達成状況の確認・評価を適切に行うことで、次の計画策定に活かしていくことや、継続的にサイクルを回していくことで、医師労働時間短縮計画の取組を定着させていくことが重要です。

 

最初は、取り組みやすいものから取り組み、達成感を味わうことが継続する上でのポイントです。

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