今週のコラム第14号「新型コロナウイルスに感染した場合の
労災保険給付の取扱い」(2021年2月2日号)

最近、ある病院から、医療従事者が新型コロナウイルスに感染した場合の労災保険給付の取扱いについて、ご質問がありました。今回は、この取扱いについて、解説してみたいと思います。

 

医師・看護師や介護の業務に従事されている方々については、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として労災保険給付の対象となります。

 

例えば、次のような事例があります。

 

【医師の場合】

A医師が診察した患者に発熱等の症状がみられ、その患者は後日新型コロナ ウイルスに感染していたことが判明した。その後、A医師は発熱等の症状が出現 し、濃厚接触者としてPCR検査を行ったところ、新型コロナウイルス感染陽性 と判定された。 労働基準監督署における調査の結果、A医師は、業務外で感染したことが明ら かではなかったことから、支給決定された。

 

【看護師の場合】

B看護師は、日々多数の患者に対し、問診、採血等の看護業務に従事していた ところ、頭痛、発熱等の症状が続き、PCR検査で新型コロナウイルス感染陽性 と判定された。 労働基準監督署における調査の結果、B看護師は、業務外で感染したことが明 らかではなかったことから、支給決定された。

 

【介護職員の場合】

介護職員のCさんは、訪問介護利用者宅で介護業務に従事していたところ、利 用者に新型コロナウイルス感染が確認されたため、濃厚接触者としてPCR検 査を受けた結果、新型コロナウイルス感染陽性と判定された。 労働基準監督署における調査の結果、Cさんは、業務外で感染したことが明ら かではなかったことから、支給決定された。

 

【理学療法士の場合】
D理学療法士は、病院のリハビリテーション科で業務に従事していたところ、 院内で新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生し、複数の医師の感染が 確認された。それらの医師と接触歴があったD理学療法士にも、咳、発熱等の症 状が出現し、PCR検査で新型コロナウイルス感染陽性と判定された。 労働基準監督署における調査の結果、D理学療法士は、業務外で感染したこと が明らかではなかったことから、支給決定された。

 

上記の場合以外にも、次のような事例があります。

 

【保育士の場合】

E保育士は、保育園で保育業務に従事していたところ、発熱等の症状が出現し たため、PCR検査を行ったところ、新型コロナウイルス感染陽性と判定され た。 労働基準監督署における調査の結果、E保育士以外にも、同時期に同僚労働者 や複数の園児の感染が確認され、クラスターが発生したと認められた。 以上の経過から、E保育士は新型コロナウイルスに感染しており、感染経路が 特定され、感染源が業務に内在していたことが明らかであると判断されたこと から、支給決定された。

 

【調剤薬局事務員】

調剤薬局事務員のFさんは、処方箋の受付、会計、データ入力などの業務に 従事していたが、発熱の症状が出現したため、PCR検査を受けたところ新型 コロナウイルス感染陽性と判定された。 労働基準監督署において調査したところ、Fさんの感染経路は特定されなか ったが、発症前の14日間に、受付カウンターで日々数十人の処方箋の受付な どの業務を行っていたことが認められ、感染リスクが相対的に高いと考えられ る業務に従事していたものと認められた。 一方、発症前14日間の私生活での外出については、日用品の買い物程度で、 私生活における感染のリスクは低いものと認められた。 医学専門家からは、不特定多数の医療機関受診者に対応した際の飛沫感染等 が考えられるなど、当該事務員の感染は、業務により感染した蓋然性が高いも のと認められるとの意見であった。 以上の経過から、Fさんは、新型コロナウイルスに感染しており、感染経路 は特定されないが、従事した業務は、顧客との近接や接触が多い労働環境下で の業務と認められ、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと 判断されることから、支給決定された。

 

以上のように、業務に起因して新型コロナウイルスに感染した労働者の方やそのご遺族の方は、正社員、パート、アルバイトなどの雇用形態によらず、次のような労災保険給付を受けられます。

 

【療養補償給付】

①労災指定医療機関を受診すれば、原則として無料で治療を受けることができます。

②やむを得ず労災指定医療機関以外で治療を受けた場合、一度治療費を負担してもらい

 後で労災請求をすることで、負担した費用の全額が支給されます。

 

【休業補償給付】

療養のために仕事を休み、賃金を受けていない場合、給付を受けることができます。

■給付日:休業4日目から

■給付額:休業1日あたり給付基礎日額の8割(特別支給金2割含む)

*原則として「給付基礎日額」は発症日直前3か月分の賃金を暦日数で割ったものです。

 

【遺族補償給付】

業務に起因して感染したため亡くなった労働者のご遺族の方は、遺族補償年金、

遺族補償一時金などを受け取ることができます。

 

いずれにしても、個々のケースに応じて、判断が分かれる可能性がありますので、新型コロナウイルスへの感染が判明しましたら、早めにお近くの労働局・労働基準監督署へ確認されることをお勧めいたします。

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