今週のコラム第13号「フレックスタイム制の導入のしかた」
(2021年1月26日号)

最近、弊社のあるお客様の病院から、非常勤医師の希望で、フレックスタイム制を導入したいのですが、どのようにすればよいですかというご質問をいただきました。

フレックスタイム制については、働き方改革の一環として法改正も行われていますが、その導入のためには、就業規則の改正等が必要となります。

今回は、フレックスタイム制の導入のしかたについて、解説いたします。

 

フレックスタイム制は、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることのできる制度です。

 

フレックスタイム制には、次のようなメリットがあります。

① フレックスタイム制のもとでは、 あらかじめ働く時間の総量(総労働時間)を決めた上

 で、日々の出退勤時刻や働く長さを労働者が自由に決定する ことができます 。

② 労働者にとっては、日々の都合に合わせて、時間という限られた資源をプライベートと

 仕事に自由に配分することができるため、プライベートと仕事とのバランスがとりやすくな

 ります。

【フレックスタイム制の基本的なルール】

フレックスタイム制の導入に当たっては、以下の基本的なルールを守っていただく必要があ

ります。

① 導入要件:就業規則等への規定と労使協定の締結が必要です。

 (ⅰ)フレックスタイム制を導入するためには、就業規則その他これに準ずるものにより、

   始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねる旨を定める必要があります。

 (ⅱ)さらに、労使協定で以下の事項を定める必要があります。

   ○対象となる労働者の範囲

   ○清算期間

   ○清算期間における総労働時間(清算期間における所定労働時間)

   ○標準となる1日の労働時間

   ○コアタイム 任意)

   ○フレキシブルタイム 任意)

② 導入に当たっての留意事項Ⅰ:フレックスタイム制を導入した場合には、時間外労働に

 関する取り扱いが通常とは異なります。

  フレックスタイム制を導入した場合には、清算期間における実際の労働時間のうち、

 清算期間における法定労働時間の総枠※ を超えた時間数が時間外労働となります 。

   ※清算期間における法定労働時間の総枠

     =1週間の法定労働時間(40 時間)×精算期間の歴日数/7日

  例えば、1か月を清算期間とした場合、法定労働時間の総枠が以下のとおりとなるため、

 清算期間における総労働時間はこの範囲内としなければなりません。 

精算期間の歴日数 1か月の法定労働時間の総枠
31日 177.1時間
30日 171.4時間
29日 165.7時間
28日 160.0時間

 

③ 導入に当たっての留意事項Ⅱ:フレックスタイム制を導入した場合には、清算期間に

 おける総労働時間と実労働時間との過不足に応じた賃金の支払いが必要です。

  フレックスタイム制を採用した場合には、清算期間における総労働時間と実際の労働時

 間との過不足に応じて、以下 のように賃金 の清算を行う必要があります。

  清算期間における総労働時間<清算期間における実労働時間の合計

  → 超過した時間分の賃金精算が必要

  清算期間における総労働時間>清算期間における実労働時間の合計

  → ①不足した時間分の賃金を控除して支払

    ②不足時間を繰り越して、次の精算期間の総労働時間に合算

 

★ フレックスタイム制は始業・終業時刻の決定を労働者に委ねる制度ですが、使用者が

 労働時間の管理をしなくてもよいわけではありません。

  実労働時間を把握して、適切な労働時間管理や賃金清算を行う必要があります。

 

【改正内容(フレックスタイム制の清算期間の延長等)】

① フレックスタイム制の清算期間の上限が3か月に延長されました。

 ○ 今回の改正によって、フレックスタイム制の清算期間の上限が 3か月 となります。

 ○ これまでは、1か月以内の清算期間における実労働時間が、あらかじめ定めた総労働時

  間を超過した場合には、超過した時間について割増賃金を支払う必要がありました。一

  方で実労働時間 が総労働時間に達 しない場合には、

   ✓欠勤扱いとなり賃金が控除されるか、

   ✓仕事を早く 終わらせることができる場合でも、欠勤 扱いとならないようにする

    ため総労働時間に達するまでは労働しなければならない、

  といった状況もありました。

 ○ 精算期間を延長することによって、2か月、3か月といった期間の総労働時間の範囲内

  で、労働者の都合に応じた労働時間の調整が可能となります。

 

② 清算期間が1か月を超える場合でも、繁忙月に偏った労働時間とすることはできません。

  清算期間が1か月を超える場合には、

  (ⅰ)清算期間における総労働時間が法定労働時間の総枠を超えないこと(=清算期間全体

   の労働時間が、週平均 40 時間を超えないこと)

 に加え、

  (ⅱ)1か月ごとの労働時間が、週平均 50 時間を超えないこと

 を満たさなければならず、いずれかを超えた時間は時間外労働 となります。

  このため、月によって繁閑差が大きい場合にも、繁忙月に過度に偏った労働時間とするこ

 とはできません。

 

③ 清算期間が1か月を超える場合には、労使協定の届出が必要です。

 ○ 清算期間が1か月を超える場合には、労使協定を所轄の労働基準監督署長に届け出る必

  要があり、これに違反する と罰則( 30 万円以下の罰金) が科せられることがあります。

   清算期間が1か月以内の場合には届出 は不要 です。

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